2ntブログ
いじめ文学専用サイト
主人公はu15の少女たち。 主な内容はいじめ文学。このサイトはアダルトコンテンツを含みます。18歳以下はただちに退去してください。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
『由加里 71』
 由加里はふたりの顔を並べてみた。
 塚本誠二と南斗太一郎。
 両名とも自分を待ちかまえている悪魔たちだ。いじめられている自分を求めている。しかし、それは同性のいじめっ子たちが少女に求めるそれとは何かが違うように思える。いや、もしかしてそう思いたかっただけなのかもしれない。思えば、あの二人のような人物にそれを求めるくらいに、由加里は追いつめられていたのである。
 少女の記憶は進めば進むほど鮮明になっていく。曖昧な箇所は、はるかによって鍛えられた想像力によって、すぐさま修復されてしまう。
 
 夕食後、少女はすぐに消灯してしまった。まだその時間までそうとう残っているにもかかわらずだ。
 
 目の前にはノートパソコンが静かに居座っている。その呼吸音を聞いていると、はるかのことを思い浮かべる。彼女に強制された遊びのことを想いだした。
 官能小説家のマネゴトのことである。
 由加里が羞恥心のあまり眉を顰めるのを、はるかはいかにも楽しげに見物していた。簡単な性語に敏感に反応する少女が、自ら猥褻な物語を造るようになる。はるかは、由加里の変化を誉めてくれた。それを成長だと言って憚らなかった。その過程において、肺が空気でパンパンになって、その身体が爆発してしまいそうになった。
 羞恥心という空気が無理矢理に身体の中へと送り込まれる。はるかは、第一印象とは裏腹の性格を有している人間である。小麦色に焼けた身体と常識はずれの運動能力を誇るこの少女が、じっさいは、彼女自身気づかない豊かな文学的才能と感受性を持っていた。
 それがどうして、自分にたいしての攻撃性に変化してしまうのがわからない。今、それを考え中である。おそらく親友である海崎照美にたいする想いが鍵になっていることは事実だろう。
その時、由加里はそう考えていた。自分をいじめている二人に関して冷静な視点を獲得してはいたのである。
 由加里は、はるかから受けた文学的な訓練をいまこそ発揮しようとしていた。
 自分が陵辱を受ける手前までタイムスリップしていた。あの時間の自分よりも一足早く、あの空間へと足を踏み入れる。

 塚本誠二と南斗太一郎は、首を長くして待っていた。
 誰を? 
 当然、西宮由加里をである。
 少年、二人は自分たちが認識できない自分の欲望を満足させるために無い頭脳を絞りに絞ってこの計画を立てたのである。
 ここは、柔道部の旧部室。木造の平屋建ては、築50年の歴史を閲している。裸電球と所々ひび割れた内装は、何処か戦前の臭いをぷんぷんさせている。
 今、二人の中に得体の知れない蛇が鎌首を擡げている。それは主人の制御を超えて欲望を叶えようとする。二人は自分の意志で行動しているつもりなのだが、じっさいは、その蛇に従っているだけなのだ。
 さて、その蛇が求めたものは、一言で表すと女人ということになる。しかし、異性への想いは充実しているのだが、その正体に知悉しているわけではない。白い肌と柔らかそうな髪。それらにどうして惹かれるのかわからない。
 しかし、喉から手が出るほどに欲しい。舐め回したいぐらいに、所有したいと想う。欲望に気づかないくせに、それに乗っ取られている人間ほど始末に負えないものはない。

「おい、まだかよ、太一郎!」
「ボクに聞くなって」
 顔を赤くして、太一郎は言った。まるで喉に詰まったものを吐くような様子だ。誠二は友人の顔を睨みつけた。しかし、その真意は計りしれない。
「本当に、来るのかよ!」
「大丈夫さ、ボクの書いた愛のラブレターがあるし」
 臆面もなく言う太一郎。
「何を!? 愛の? ラブレター?あはははは!!」
 塚本の方は彼の友人よりも多少なりとも知性と理性を持ちあわせているらしい。下品な笑いでこの狭い旧部室を埋め尽くす。
「お前な!」

 ガシャン。

 太一郎が非協力的な友人に抗議しようとした ―――、まさにそのとき、使い古されたドアが開いた。50年もの間、体育系の荒男どもの脂ぎった手が開閉に使ってきたドアである。その人生の最後に、由加里の用な麗しい少女の手によって握られたことは、せめてもの死に水になったことだろう。
 『作家』の由加里はこの時、自分の背後に迫る3人の人物を透視能力を有する目で捕らえていた。 
 しかしながら、そのうちのひとりにはほとんど興味がない。

 神崎祐介 ――――野蛮を一文字で表したようなこの男と目を遭わすものおぞましいと想う以外に感想らしい感想を抱くこともない。
 しかし、由加里は見てしまったのである、背後に潜む照美とはるかの姿を ――――。
――――どうして、あの二人ガ・・・・。
 由加里は急いで透視能力にフィルターを掛けた。
―――これは私が創っているシナリオよ!真実じゃないわ。
 少女は彼女だけがそう想っている現実を見ようとした。
 室内では、二人の若い狼、いや子狼というべきか、のオスが由加里を囲んでいた。

「もう、後ろはないよ」
「ヒ!?」
 由加里は薄汚い壁にぶつかった。背中を通しても、その汚れが目に見えるようだった。ダニやらシラミやら得体の知れない生き物が巣を作っているかのように思える。肌に触れるだけで炎症ができるような気がする。
 8:2 すると、一人の重い皮膚病を患っている人がイエスに近寄り、ひれ伏して、「主よ、御心ならば、わたしを清くすることがおできになります」と言った。
 8:3 イエスが手を差し伸べてその人に触れ、「よろしい。清くなれ」と言われると、たちまち、重い皮膚病は清くなった


 由加里は、はるかに渡された書物の中にそのような文章を求めていた。
 言うまでもなく聖書の一節である。このはるかという少女は相当の読書家のようで、官能小説だけでなくこのような書籍も混入していた。
 というよりは、本ならばどんな作品でもこれでもかと、詰め込んでいた。
 田中芳樹の『銀河英雄伝説』からヘルマン=ヘッセの『車輪の下』まで古今東西各種の本が眠っていたのである。当然、知性においては並ぶところのない由加里のこと、読書は厭わないが、それは成績を保つためであって、すすんで本の価値を知るためではなかった。だから、皮肉なことにはるかによって、それを知ったとも言えるのである。
 しかし、今はそんなことを考えているときではない。目の前にいるのはキリストと聖母マリアではないのだ。

「西宮さん、ようこそ」
「・・・・・・?!」
「あれ? 西宮さんってよく見るとけっこうきつい顔をしているよね、美人だけど。そうか、あれほど嫌われているのに、よく学校に来れる思ったんだけど・・・・・、やっぱり、性格きついんだね。そうじゃないと学校に来れるわけないか」
――――そんなところにも性格が現れているんだね。少年はそれを文章化できるほどに知性に恵まれているわけではなかった。
「・・・・・・・・!?」
「あれ、泣いちゃってるの?」
 
 由加里は涙ぐんでいた。悔しかった。男子にまでこんな扱いを受ける。別に、この二人が恐いわけではない。その背後にいる高田や金江、それにクラスの女子たちが恐いのだ。それにあの手紙。こともあろうに書き写してしまった。あれは痛恨のミスである。わざわざ墓穴を掘ったと言ってもいい。
「ヒイ! イヤアアアァ!」
「おい、太一郎、お前も!」
「おい、誠二・・・・・」
 太一郎はただ立ち尽くしていた。目の前で、起こりつつあることを信じることができなかった。誠二は由加里の右手を摑みとっていたのである。

――――なんて、柔らかい! これが女か!?
 少年の体内に感動が広がる。マシュマロのような感触は、彼がこれまで味わっていた触感のどれよりも甘美で夢心地にしてくれる魔法の絨毯だった。
「いやああ! いやあ!許して! もうやめてぇぇぇ!!」
 由加里はいじめっ子たちに、この台詞をそれこそなんかいも言ってきたはずだ。
 しかし、相手が異性となるとその言葉の意味は自ずから別の性格を有することになる。それは由加里じしん気づいていないことだった。そして、もうひとつ恐るべきことが少女の身の内で起こっていたのである。
 この少女の脳裏にはある人物の映像が浮かんでいて、ふたりに救いを求めていた。
 それは母親でも姉でもなくて、なんと、照美とはるかだった。

――――どうして?
 由加里は左手をも、少年に摑まれながら呻いた。誠二に促された太一郎は、ついに思い人の手を摑むことに成功したのだった。
しかし、由加里を人格崩壊寸前にまで追いつめているのは、少年二人ではなく、自ら作り出した映像だった。

 照美とはるか。

 どうして、よりによって、あの二人に救いを求めているのだろう。

 ――――私は、もう完全にあの二人の奴隷になっちゃったの? そうよね、主人ならば自分の奴隷を助けようとするわよね。お金払ってるんだし ・・・・・・。
 ほとんど自暴自棄になって、泣き続ける。
 上品なつくりの細面を涙で歪めながら、由加里は絶望に落ち込んでいく自分を認識させられた。

 ―――もうだめだ。だめだわ。ごしゅじんさま、助けて
「キレイな顔が台無しだよ、西宮さん」
 太一郎は、恐るべきことを言おうとしていた。
「そんなにボクのことを好きなんだね。泣いて喜んでくれるなんて」
 この台詞には誠二ですら、呆れたぐらいだった。しかし、臆面もなく、いや臆面という言葉を知らないこの少年はさらに畳み掛ける。
「ラブレーター嬉しかったよ、恋人になってくれるよね」
―――恋人。
 この少年は、本当にその言葉の意味を知っているのだろうか。由加里はそれを訝しく思った。決して口には出せなかったが。
 しかし、このふたりが少女に感じさせているのは、照美たちに感じる恐怖とは性質の異なるものだった。前者を上品な恐怖だとすれば、後者のそれは下品なそれ。言い換えれば、エイリアンやその他おぞましいものに対する嫌悪の念だった。
 改めて、あのふたりが自分に対して抱く憎しみと恨みの深さを知った。けっして、その内容を知り得たわけではないが、その雰囲気ぐらいはうかがい知ることができた。だが、そのふたりに思慕の念を抱いてるのである。
 もっとも、誠二と太一郎という2匹のゴキブリに比較して、そう見なしているのかもしれないが。しかし、この危急のときにあって母親を思い出せなかったのはどういうわけであろう。それを思うと、やはり照美とはるかに関する方程式を解くことができないことを知るのである。

「いいのかな?ラブレター、教室に張り出しても?」
「・・・・・・・・・!?」
 両腕を男子によって捕まえられても由加里は奴隷であることを潔しとしない。
 大粒の涙をいくつも床に零しながら華奢な身体を振る。
 それにしてもどうして涙が落ちるときに音がしないのだろう。由加里は絶望の底なし沼にはまりこみながら思った。
 少女にとって大問題なのに、外界においてはどうでもいいことらしい。だから、クラスメートの誰も残酷な手段によっていじめ苛まれている由加里に、同情の一片も与えないのだろう。
由加里は、教室で毎日行われているいじめを思いだした。しかし、この薄暗い部屋においては、誠二と太一郎しかいないのだから、それを求めることは無意味に等しかった。
むだな抵抗を際限なく続ける由加里に、業を煮やしたのか、誠二が冷たく言い放った。

「高田たちが喜ぶだろうな」
「・・・・・・・・・!?」
由加里は腑を握りつぶされた。
 もはや、一人では立っていられない無力な人形と化した。誠二と太一郎のダッチワイフと化そうとしてたのである。

 さて、『作家』の『由加里』も中空に漂いながら、あふれる涙を抑えていた。しかし、何処かで事態を達観する冷静な目を持っていた。
 その目は、部屋の外を透視しはじめていたのである。
 
 はたして、照美とはるかが言い争っていた。
「どうして、このまま殴り込もう!それにあいつのミジメな様子を見てやれるじゃん?」
「いや、それは後でもできる」とこれは照美。
 照美はなぜか冷静だった。まるで暴れ馬を御する騎士のように、はるかを諫めていた。本来ならば逆の役割を照美が果たしていた。

「それはあすこにおられる御仁にまかせればいいじゃない」
「う? 祐介?」
はたして、そこには神崎祐介が立っていた。まるで鋼鉄の巨人のように見える。
しかし、その巨人が口を開くとそれらしくないことを言った。
「は、はるかさん ―――」
「あ ――?」
 呆れた目で親友を見上げる照美。巨人の声は変に裏返って、下手なカエルの泣き声のようだ。しかもあまりに下手なためにメスを惹き付けることもできない。しかし、このカエルは鋳崎はるかという趣味の悪い異性を惹き付けたようでは ―――あった。
「ねえ、神崎せんぱい」
「な、何か?」
 外見だけはセンパイ顔をしたが、この美しすぎる後輩にも頭が上がらないのだった。
「あのバカたちが、どんな手を使って私たちの奴隷を籠絡したのか知りたいですけど ――」
「籠絡?」
柔道用語は、彼に辞書に載っていたが、あいにくとその言葉を見つけることはできなかった。
「あの奴隷はバカじゃないんですよ、あんな奴らの言いなりになるわけがないと愚考した次第でして ――――」
「愚考?」
 照美は、あえて難しい言い回しをすることで、自分の感情を抑えていた。しかし、そんな機微を見抜けるほどの洞察力がこの筋肉の塊にあるわけがなかった。
はるかは諦めたかのような口調で言った。

「まあいいわ、祐介、お願いね。殺さないていどにお願い」
「わかりました」
 鋼鉄の巨人に戻った祐介は、動き始めた。カシャーン!ガシャーン!!という音があたかも聞こえるように思えた。
しかし、その音は照美には聞こえなかった。
「照美? 泣いているのか?」
「な、泣いてなんていない!!」
 美貌を劣悪な感情に歪めた。しかし、はるかはその方がよほど美しいと思った。
「わかっているぞ、照美、あの女のブザマな姿を見たくなかったんだろう? それであいつを傷 ――――」
「言うな!」
 みなまで言うまえに照美の手がはるかの顔を覆っていた。
「お前、そこまで自分の神経を痛めつけてまで、こんなことしてるんだ?」
 自分に凶器をつきつけた相手にたいして、優しく諭すように言う。

―――見たくないわ!こんなの嘘よ!嘘!
 『作家』である由加里は、すべてを打ち消そうとしていた。
 少女が造りだした照美とはるかが、あたかも人形劇の人形のように動いていた。人形師は由加里なのか、はたしてわからない。それにしては、ふたりは本物の人間のように生き生きとしていたからである。



テーマ:萌え - ジャンル:アダルト

コメント
コメントの投稿
URL:
本文:
パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック