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『マザーエルザの物語・終章 22』
 
 祥子がどうして娘とあおいをその展覧会に誘おうとしたのか、その理由はわからない。

 気が付いたら、そのような気分になっていて、チケットを差し出していた。チケットはたまたま持っていたものである。
 非常に宗教的なはなしになるが目に見えない得体の知れない力によって、身体を吸引されている気分になった。
 何者かに操られている。自分の動きの中に、自分の意志でないものを見つけたのである。チケットは友人の気まぐれによってもらったものであるし、その朝、たまたま選んだバッグにそれが混入していたのは、単なる偶然にすぎない。
 そして、ふたりを目の前にしてチケットを取り出したのは、単に陽光が眩しかったからである。
 啓子は絵画などに興味はないし、あおいもそのようなそぶりを見せたことがない。
 学生時代からの友人である久子は、若いころ画家を目指していた経緯があるくらいだ。今でも好きであるし、絵画を収集していた時代もあったはずだ。
 たしか、彼女の家の居間には、相当値打ちのある絵画が掛けられていたはずだ。画家の名前は失念してしまったが・・・・・。

 祥子の運転する車は一路、都内にある美術館に向かって走っている。バックミラーに映るあおいは寝入っていた。その寝顔を本当に可愛らしいと思った。まるで西洋人形のような仕草で、そこに存在している。大理石のような塑像。滑らかな肌は祥子から視ても触れているようにすべすべと感じさせた。まるで触っているかのように、手触りを想像できた。

「あおいちゃん、寝ちゃったわねえ」
「きっと、疲れているんだよ。何に疲れているのかわからないけど ―――」
 啓子は、言葉を車外に投げ捨てる。
 その仕草が異常におかしかったのか思わず、祥子は噴き出してしまった。
「何よ」

―――失礼な。
 それを呑みこんだから、啓子の表情はさらに滑稽なものとなった。
「啓子が絵に興味持つなんて珍しいなあって思って」
「気まぐれよ」
 音のひとつひとつを車外に投げ捨てるように言う。
「どうしたの尖っちゃって?」
「別に」
 その時、西洋人形が赤い声を上げた。
「あら、お目覚め?あおいちゃん」
 ミラー越しに目覚めの挨拶をする祥子。その言いように、何故かさらに感情を尖らせる啓子。
「そんなに疲れるくらいに昨夜は、何を励んでいたのかしら? 少なくともお勉強じゃないわよね」
「・・・・・・!?」
 思わず対応できないあおい。昨晩は、久子の命令によってトイレ掃除に勤しんでいたのだ。啓子との電話を終えると急にドアが開いた。そこには久子が仁王立ちになっていた。
 有無を言わせてもらえずに叩き起こされたあおいは、トイレまで引きずられて行った。

 汚れが取れないと何度もやり直しをさせられた。有希江の陵辱の後には、シンデレラじみた夜が待っていた。ついでに言っておくと、たまたまトイレに入った有希江によって、性的な虐待を受けている。 
 非常に慈愛深い姉は、泣きじゃくるあおいの膣に異物を挿入したのだ。慌てて取りだそうとする少女の目の前には、久子の足があった。
「何をしているの?」
 久子の言葉は強烈だった。その声は鶴のひと声よりもさらに影響力があった。あおいは、一晩中、股間のものを取り出すことも許されずに両手を動かし続けた。可愛らしいピンク色の爪に何本も罅を入れながら、忙しなく指を動かし続けたわけである。
 これまでの少女ならばさしずめゲーム機のコントローラー相手に自慰のように手を絡ませていたものである。
 それが、いまや洗剤の臭いにまみれて四つんばいの格好でトイレの床を這い回っていた。
「洗剤まみれ?いいわね、あなたの臭いを消してもらいなさい。知ってる?あなた臭いのよ、近づくと下水の臭いがぷんぷんするわ」
などと嫌みを言われながら、しかも性器から混みあげてくる官能に身を悶えながら、激しく両腕の筋肉に電気信号を送り続けたのである。

――――ママにあそこのことを知られてはだめ!
 あおいはただ一つのことを怖れながら、怯えていた。それは、鬼に金棒を震われながら血の池地獄を這い回るのに似ている。
 午前1時にやっと煉獄から解放されたあおいは、有希江の部屋に行かなければならなかった。たまたま有希江は疲れ切っていたために、さらなる陵辱は許されたが、恥ずかしいところを露出する姿勢を強要された挙げ句、さんざん罵られた。
 その後、風呂場に直行したあおいは泣きながら身体を神経質に洗った。まるで、そのことでその日、自分の身体に刻印された奴隷の紋章が消えるかのように、ごしごしと洗ったものである。
 その夜、とうぜんのように眠れなかった。
 啓子の優しい声が聞きたくて、なんども携帯に指を絡ませたが、すんでの所で留まった。

―――きっと寝ているわね。
 それに、このまま啓子と回線を通じたら、ストレートに自分の思惟が伝わってしまうと思ったのである。
 それだけは避けたかった。
 この状態を親友に知られるわけにはいかない。どうして頑なにそう思うのか当時のあおいはわからなかった。もしかしたら、分かろうとする余裕もなかったのかもしれない。
 自尊心と友情がない交ぜになった気持を小学生が帰納できるわけがなかったというのもひとつの真理だろう。
 しかし、一種の罪悪感があおいを縛っていたのも事実である。啓子にたいする何やら根源劇な罪悪感。たとえるならば離婚した親が子供に抱くような、一生拭いきれない、そして背負っていかなければならない重荷。アプリオリな意味で、あおいは啓子にそういうような感情を持っていたのである。とうぜんのことながら、本人はそれに気づいているはずがなかったが。

「・・・・・・・・・・・・・」
「どうしたの? あおいちゃん?」
 啓子は本気で心配になった。
―――そうだよ! 一晩中、おべんきょうしてたんだから!
 あおいのことだから、このような大嘘を抜け抜けと吐くはずだった。それを啓子も期待していたのである。しかし、帰ってきたのは、悲しげで元気のない吐息だけだった。レストランのトイレでのことも含めて、さすがに心配になる。
「・・・・・・・・・!?」
 啓子は、自らの手を親友のそれに重ねた。驚いて手を引っ込めようとするあおい。
 しかし、電撃を打たれたかのように身体が動かない。だが、啓子自身驚いていた。その自然な手の動きは、まるで大事なものを失った愛妻に、夫が、ただひとつできること。
 そのように、手の持ち主の意志によって行われた行為ではなかったのである。本人ですら驚く。手を載せられたあおいが内心、髪を振り乱さずにいられるわけにはいかない。たとえ、外見だけは平静を保っていたとしても、額に滲む汗を隠すわけにはいかないのである。

 一方、祥子はいちれんの出来事を見守っていたわけだが、あまりのことに手も口も出せずにいた。あまりに自然だったのである。あくまで、ふたりがカップル、いや、夫婦。それも十何年も連れ添った、自分の親の世代が組む夫婦関係ならば、その行為はジクソーパズルに最後にはまりこむ1ピースのように、ごく自然に風景にはまりこむはずだった。
 しかし、ふたりは友人関係、しかも同性で小学生の子供にすぎないのである。
 
 ふと、背後の人間たちが自分よりも年下であることを忘れた。

 まるで寸劇のような一連の出来事に、祥子は、鼻を摘まれた思いになった。
 重苦しい空気が車内の充満していた。それを換気するために、祥子は何か言わなくてはならないと思った。

「あっ、マックだわ、食べていく?」
「おばさんたら、さっき食べたばかりじゃない」
「そうだよ、ママったら何言っているのよ」
 恥ずかしそうに啓子は言う。
 慌てたところにマクドナルドのMの文字が視界に入ってきたのである。それが無意識のうちに言語化させてしまったのだろう。
 しかし、そのことがあおいを和らげる役割をはたしたことは事実だろう。
 あおいは、かわいらしい目をシロクロさせている。やっと、目の光りがもどったようだ。祥子は安心したが、そのことで子供ふたりからばかにされる羽目になってしまった。

「ねえ、ママ」
「何?」
 改めて真顔にもどった娘に、祥子は襟を正す。不思議な表現に聞こえるかもしれないが、そのようにしか表現できないほどだったのである。たがが美術館を訪れるのに、なぜか緊張している。まるでパンドラの箱を開けに行くようだ。

「井上順って人、私もはじめて知ったのよ。NHKの美術番組で特集してたの」
「テレビと来たら、ゲツクしか見ないママがね ――――」
 肩をすくめて笑顔を無理矢理に作ろうとする。
「うるさいな、黙っていなさいよ!」
 ついに堪忍袋の緒がほぐれそうになったようだ。
「ヘンな女の人の顔ばかり描く人ですよね」
「ヘン?」
 意外そうに祥子は顔を顰めて見せた。
「そうですよ、鼻がツンとしていて、なんだか恐そう ―――私、好きだけど」
 この少女が、それほどまでに自説を通すのをはじめて見た。元来、頭の良い子なのだが、おっちょこちょいなところがあるところと、自分の 意志を表現するのが下手なところに珠の傷を見ていたのだ。
「そうねえ、たしかにこのチケットの絵を見ても ―――」
「嘘、すごい美人じゃない? それに優しそうじゃない」
「とにかく、本物を見てから決めてもいいじゃない、あ、付いたよ」
 流線型の豪奢な建物を認めると、祥子は車を駐車場に回すべくハンドルを切った。

 一見すると、その建物はマグロを思わせる。その偉容からして、かなりの税金のむだがあったということができるだろう。
 何を隠そう、この美術館は県立なのである。バブル期に地方公共団体がこぞって税金を浪費する気風があったが、これはその残り火というところだろうか。
 その建物を外観するに、その新しさはどうみてもバブル期の建築とは思えない。
 しかし、そのような見方は小学生ふたりを洗脳することはできなかった。たた、単純に建物の豪華さに感動していただけである。
 ただ、笑止なのは赤木祥子が右習えと言った態度で、ふたりに従っていたことであろう。もしも、久子であれば一笑に付したことは想像に難くない。
 祥子の天然ぶりは久子も笑うところだったのである。

 ふたりの性格の違いはともかく、美術館は完全に口を開けて3人を待っていた。


『井上順、展覧会。祖国を捨てた孤高の漂流画家 ニフィルティラピア~日本、極東の島国へ』
 
 雄大すぎる張り紙に比して、客数はまばらなようだ。宮殿のような建物に3人は足を踏み入れていく。潔く帰ってくる足音の反響は、空間の広さと人肌の温かみに欠けすぎていることの証左となる。
「誰も来てないね、本当に」
 あおいは不安そうに館内を見回す。

「いらっしゃいませ、こちらです」
 黒タイツの女性スタッフが機械的な物腰で、入り口に誘導しようとする。あおいは彼女の流線型たけに目がいく。170を超える日本女性としては長身のために、平均的小学生にしても背が低いあおいとしては、それも致し方ない。
 ただ大人の女性に対する羨望に幼い胸を焦がすだけである。少女が思うほどに美人であると思われないのだが、端から見物していると、祥子としては可愛い限りである。
 一方、啓子は、憑かれるように受け付けの向こうを見つめている、放心したような表情はここまでに来る前の彼女ではない。どうしたというのだろう。絵なんてまったく興味ないという感じだったのに。ここに来て、美術館の空気を吸ったとたんに変化してしまったかのようだ。

 受付にて、蝶ネクタイ姿の男性にチケットを渡す。たしか久子が言っていたと思うが、日本人に蝶ネクタイは似合わない。ついでに言うとタキシードというのも似つかわしくない。もっと言えば、洋服というのは似合わないのだろうが、さすがにそこまで久子も言わない。
 少なくとも、日本人の男性にはそれに似つかわしい身のこなしというものがあるはずだ。それを彼らは忘れきってしまっている、久子はそう言うのだ。
 祥子といえば、そんなことはどうでもいい。男には持ち前のたくましい胸と腕があればいい。たしか学生時代に久子にそう言い返したはずだ。彼女は苦笑のあまり苦笑していたが・・・・・。
黒タイツの女性よりもさらに機械的な受付を抜けると、正面におおきな写真があった。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・_!?」
 
 鷲。
 
 第一印象はその一言につきる。井上順というあまりに和式の名前に似つかわしくない老人がそこにいた。もしも、久子がここにいたらこう難癖をつけただろうか。
「ヨーロッパ人に和服を与えるなどと、まさに馬子にも衣装だ」
 画家というよりは政界の黒幕と言った方が適当かもしれない。鋼鉄をも射抜くようなするどい目つきと鋭利な顎は、芸術家というよりも武人を思わせる。椅子に腰掛け、堂々と杖を中央にせり出したその姿。杖が軍刀にみえる。
「とても哀しい目」
 あおいの開口一番は、祥子の感想とは相容れないものがあった。
 一方、啓子は凍りついたように写真に見入っている。
「先、行こうよ」
 祥子はふたりの肩に触れることさえ憚られた。まるで失ってはならないものを失ってしまったかのようなふたりの様子に戦慄さえ憶えた。ただの小学生の子供にすぎないのに。

「帰ろう、ママ」
 それが啓子の開口一番だった。
 あまりに哀しげな口調でそれが語られたために、祥子は何も言い出せない。しかし、あおいは引き 寄せられたかのように奥へと歩み寄っていく・・・・・・。
 そのとき、見たのである。祥子は、あおいの口が、動くのを、たしかに。しかし、その声帯が震わせて結合させた音声は、日本語ではなかった。英語でもドイツ語でもない聞き慣れない破瓜音。
 祥子は、それを人名だと直感した。
 一方、啓子はまだ立ち尽くしたままだ。心なしか、小刻みに震えている。
「どうしたの気分悪いの? 向こうで休んでようか」
 祥子は娘を長いすに連れて行くことにした。

―――え?
 恐るべき事があった。娘の体躯が鋼鉄のように硬く重いのだ。まったく動かない。
「あおいちゃん ・・・・・」
 遠近法の錯覚に従って、あおいは小さくなっていく。少女がまず惹き付けられたのはいちまいの絵画だった。ジオットを代表とする初期ルネサンス画家の仕事のように、硬い写実な画業がそこにあった。モデルは20世紀の人物のはずなのに、はるか昔の人間のように思える。彼女が纏っている衣装はたしかに当時のものだと思われる。
 しかし、その硬い表情、絶対零度の肌、それらはどれも深い過去に眠っているべき存在だ。ガラス玉のような蒼い瞳が印象的だった。絵を少しでも押せば、ゴロンと転がってきそうで恐い。

 しかし ―――。
―――見たことがある・・・。なんだろうこの不思議な気持は?
 娘のことなぞ完全にうっちゃって、祥子もこの絵画に惹き付けられていった。
 『恋人』
 題はそれだけだ。絵の隅に書かれた横文字はあきらかに、それがヨーロッパ語であることを証明しているのだが、それは二本の線によって消されて、改めて日本語の2文字が書き加えられている。おそらく作者の行為だろう。そんなにまで自分の過去を憎んでいたのだろうか。消去せずにはいられないくらいに恨んでいたのだろうか。
 なぜか、祥子の胸を熱くするものがあった。時間的、空間的にかなり隔てられたこの人物の仕事がどうして、こんなに胸を打つのだろう。いや、仕事ではない。この画家の作品は、彼の生そのものだと言ってもいい。
 まるで巨大な潜水艦のような館内を流されるように歩く。まるで見えないものに引き寄せられていくように、足がもつれる。
 ピカソのように徹底した写実から絵が溶けていくのはめずらしい話しではない。
 絵画に溶解剤を降りかけたように、変化していくのだ。

 しかし、この画家のばあいはすこし違う。モチーフはたったひとつ。この女性だ。
 赤ちゃんの時代から老婆にいたるまで、たったこの人物だけを対象としている。
 印象派からダダイズムまであらゆる絵画技術を使って彼女を描いている。いや、描いているというよりは摑んでいると言った方が適当か。それも違う。
 絵を少しでも嗜む人間ならピンと来るかも知れないが、何かモティーフを描くということはそれを所有することと同意になるのだ。
 
 画家は、この女性を描くことで彼女を所有している。

 祥子は根拠のない印象をそのまま信じる気になった。久子ならば自分で考えた考えに、論理という当て擦りをすることも珍しくない。激しい自己批判にうつつを抜かすこの友人は端で見ていてもつかれるほどだ。
 祥子は改めてこの少女を見つめてみた。外見を見ればその美しさを受け継いでいるのがはっきりとわかる。
 しかしながら、母親よりもはるかに穏やかだ。それ以上に差異を感じるのは性格だ。子供時代の彼女を思いだしてみても、水と油ぐらいに違う。母親はつねに用意周到で抜け目がなかった。
 一方、娘の方は端か見えていても向こう見ずでおっちょこちょいだ。危なっかしいことこの上ない。幼稚園の運動会のときなぞ、自分の娘のように心配したものだ。本物の母親はそれ以上に狼狽し、普段見せぬ姿を露出しては、祥子を微笑まさせていたものである。

 しかし、最近の久子とあおいの関係を見ていて、腑に落ちないものを感じる。
―――何かが違う。何かが確かに変わってしまった。しかし、その正体はようとして知れぬ。
 祥子は、ただならぬ思いを胸に秘めながらあおいを見つめた。

テーマ:萌え - ジャンル:アダルト

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