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『由加里7』
               『由加里7』

  安閑とした教室で、由加里がたったひとりで、英語の授業を受けている。
多賀の発音は、留学経験を自慢するなりに、それなりにマトモだった。しかし、それは、彼の人格や、教師としての資質にまったく関連しない。こんな状況で、平然とした顔で、授業ができるのだ。どう考えても、まともな教師ではない。

 「・・・・・」
しかし、由加里はそんなことにかまっていられなかった。彼女が案じていたのは、これから、自分はどのような仕打ちを受けるのだろう、ということである。
 
―――――どうして、こんなことになってしまったんだろう?
いくら考えても答えは出なかった。中2になるまで、いじめられるなどということはおろか、嫌われることすらなかった。仲間はずれになるなんてことは、全くなかったのである。
 むしろ、クラスメートたちは、彼女と友達になりたがった。班分けのときなぞ、こぞって由加里と同じになろうと喧嘩になったものだ。
 それが、いまや、クラスのつまはじきにされ、あげくそれ以上のいじめを受けようとしている。

 いま、どういうことなのか、ひとりぼっちで授業を受けさせられている。お尻が冷たい。薄すぎる下着の生地のせいだ。姉である冴子の下着だ。とても恥ずかしい。少女の語彙では、そのようにしか表現できなかった。ただし、それは少女が低脳なわけではなくて、性的な分野に対して、年齢のわりに、奥手なだけである。
 その下着が、彼女をさらなる窮地に陥れる材料になること。そのことに、少女は気づいていなかったのか?いや、それについて考えたくなかっただけなのかもしれない。

 由加里にとって、それほどマイナスな条件がそろってしまったのは何故だろう。まったく運命のいたずらとしか思えなかった。

 この日のことは、後で相当の問題として扱われた。親たちは呼びだされ、厳粛な空気のなかで、校長を含めたメンバーによる話し合いが為された。クラスごと、扱われる問題とされたのである。一方、授業をボイコットしなかった由加里は、褒め称えられた。それは、彼女にとって、何の意味もないこと。いや、かえって迷惑なだけだった。陰湿ないじめをエスカレートさせるだけだったからだ。

 しかし、それよりも由加里には深刻な問題が起きていた。
 
 授業をボイコットした日の放課後のことである。クラス全員による由加里裁判が行われた。由加里は中心に正座させられ、みんなの審判を受けた。
 「おい、あんたどういうつもりよ、高田さんがドンナ目にあった知って居るんでしょう?」
ある生徒が指摘した。高田は、多賀の授業において、暴力を振るわれた少女である。そのことが原因で、クラスが団結した結果、ボイコットが成立したわけだ。
 「ひどいわよ、西宮さん、私のこと友達じゃなかったの!?」
 高田は、わざとらしく泣き真似をしていた。陰湿ないじめの先頭に、立っていながら、この態度である。
「どうなのよ、高田さんに言うことないの」
「・・・・・」
由加里は、何を言っていいのかわからずに、戸惑うばかりだ。その時、背後からひときわ響く声がした。あの海崎照美である。
「これって、裁判なんでしょう?裁判には、弁護士が必要よね、高田さん」
「え?」
 照美の発言に、疑問を持ったのは、高田だけではなかった。全クラスメートがどよめいた。みんなで、これから由加里いじめを愉しもうと思っていたところだ。それを邪魔しようとしているのである。しかし、クラスメートたちは、表だって誰も異論をはさまなかった。
 いや、はさめなかった。この美少女の存在感は、みんな無視できなかったのである。しかしながら、いままでクラスのリーダーシップを取ろうと動いたことはない。むしろ、控えめにしていたくらいだ。由加里いじめにも、表だって参加はしていなかった。

 中学生離れした美貌とただずまいは、無言で、クラスに存在感を主張していた。
 「・・・・・?仕方ないわよねえ、でもこいつの罪状はたしかじゃない?!」
高田の友人は主張した。
 「そうかしら?別に弁護士は、別に裁判で無罪を主張するだけじゃないのよ」
「・・・?!」
その言葉は、由加里の希望を完全に打ち砕いた。
-――――――――もしかしたら、私の味方をしてくれるかもしれない。
それは淡い、しかし、切実な希望だった。

 「弁護士は、真実を明らかにするためにも存在しているの。被告の味方をするだけじゃなくてね。私はこの人間の本質をあきらかにしたいの」
その言葉の何処にも好意らしきものはなかった。いや、完全なる悪意の表明だった。むしろ、高田よりも悪辣に由加里を痛めつけるもくろみが見て取れた。
 
 クラスメートたちは、知的にではなくて、本能的に、理解した。ごく2人を除いて、照美の意図を正確に理解できるものはいなかったのである。一人目、鋳崎(いんざき)はるかのことである。彼女はただ、黙って、あたかも弁慶のように照美のそばで立っている。
 そして、もうひとりは言うまでもなく、西宮由加里である。
 
 「ねえ、検察官はあたしがやるよ」
高田の友人が言った。最初に由加里を指弾した少女である。名前は金江という。
「じゃあ、裁判官は?」
「私がやる」
それは香奈見だった。
「ウソ!そんな香奈見ちゃん・・・!」
まだ彼女には、かすかな期待を持っていたのである。
「・・うう・・・ぅ」
悪意のクラスメートたちに囲まれ、泣きべそをかく美少女。すべての批判が少女に一点集中している。
 さて、こうしてクラスによる由加里裁判が始まった。それは、彼女に対するあからさまないじめの始まりを意味した。そして、出口の見えない地下トンネルが、由加里を待っていた。



 
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