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『由加里 42』
  貴子の誘いで、マックに行くことになった。
 由加里とミチルは、かなりの時間、二人で対峙していたらしい。彼女に話しかけられるまで、二人は、そのことにすら気づかなかった。三人とも蝋人形のように、無言のまま、レジに押しかけ、注文を終えると、夜の街がよく見える場所に席を求めた。トレーを運んだのは由加里である。
「夜景がきれいですね、こんな席で、ロマンティックな気分ですか?よくそんな気分になれますね、私はなれませんけど」
 付き合っていながら、不満たらたらの体で由加里にあたる。
 「ミチルちゃん・・・・・・・・・!?」
「ミチル!」
 由加里は絶句し、貴子は切れた。

「あんた!何を考えているのよ!いい加減にしなさいよ!」
 ミチルは、まるで1980年代の不良のように、スネている。それは、不恰好に組まれた足にも表現されている。剣呑な表情に、全身を包んでいる。だから、貴子に何を言われても、知らん顔だ。あさっての方向を向いている。
「ミチルちゃん、こうやって誘ってくれたのは、まだ許してくれるってことだよね」
 由加里は、絶え絶えの精神状態で、やっと言葉を紡いだ。葉っぱの一枚、一枚は、擦り切れて、葉脈が食み出ている。

「先輩 ――――」
「はーん、誘ったのは貴子じゃないですか?あたしは、彼女に付いてきただけですよ、ちょうど、ライブで疲れたしね・・・・・・・・・な!貴子!!何するのよぉ!!」
 ミチルの頭を襲ったのは、冷たいコーラのシャワーだった。氷が入っていたのはご愛嬌というところだろうか。
「た、貴子ちゃん!」
「いつまでたっても信用してくれないのは、先輩の方でしょう?!この人、友達なんて欲しくないのよ!」
 
「ともだち? ウウ・・・・ウ・ウ・・ウ・ウウ!!」
 その一言を聞くなり、由加里はポロポロと涙をこぼしはじめた。
まるで水銀のような粒のひとつひとつは、それぞれ煌めいて、それぞれ、星を形作っていた。そして、その星々は、それぞれ主張を持っているようにも見えた。
 つい、1年前まで、その言葉の重みを理解していなかった。少女の周囲に、存在して、あたりまえだったからだ。小さい時から常に人気の的だった。誰もが、少女の隣にいることを希望した。その席を巡って、みんな争っていた。それを見て、少女はただ微笑んでいればよかった。
「な、泣けばいいでしょう?!本当に泣きたいのはこちらの方ですよ!」
 ミチルは、狼狽を隠すように、足を組みなおす。
 しかし、その手や足首は震えて、目つきはうろうろとしていた。

―――この不器用な子が、何をやっているのよ!
 貴子はそう思いながら、手を動かした。ミチルは、何をするつもりだと、高をくくっていると、はたして、平手打ちが飛んできた。

 ビシッ!
 冷房で乾ききった空気に、その音はよく響いた。
「あんたさ!言ったよね、先輩にさ、信用できないなら、しなくてもいいって!!それで納得したんじゃないの?!あんたなんか、嘘つきのへんべらぽんよ!」
「へんべらぽん?!」
「もう知らない!」
 貴子は立ち上がると、去ろうとした。
「待って、貴子ちゃん!」
「・・・・・・・・・」
 由加里の声に立ち止まらざるをえなかった。

「先輩、行きましょう、こんなの相手にしていてもしょうがないよ!」
 貴子は、改めて由加里を見た。躰が小刻みに震えている。それは、効き過ぎている冷房のせいだけではないだろう。
「先輩!」
「私ね、私・・・・・・・・・」
「座ってください、さあ、落ち着いて」

 由加里の尋常でない様子に、ミチルも旋毛を元に戻したようだ。
「何があったんですか?」
 氷が完全に溶けたコーラを一口飲む。
「お、男の人にね・・・・されちゃたの!!・・・大切なもの・・・・・何もかも、奪われちゃった・・・・・・・・・」
「・・・・・・・!!」
 その一言で、すべて通じた。二人は絶句するとともに、その身を燃え上がらせるような怒りを感じた。それは、由加里をいじめる部員に対する怒りとはまた違った種類のものだった。しかし、今、できることは、彼女の傷に燃えさかる哀しみの炎を鎮圧するだけだった。それが唯一、彼女に示せる誠意だった。

 しかし、誰に?とは口が裂けても言えなかった。ただ、目の前で大事な人が、血まみれになっているにも、係わらず、何の手当も出来ない、おのれの無能さを恨むだけである。
――――どうすればいいのか?もどかしい!
 ミチルが手をこまねいているときに、貴子は、別のことを考えていた。
「じゃあ、警察に行きましょうよ、先輩」
「・・・・・・・・・・」
「貴子!」
「じゃあ、このまま黙っているんですか?」
「相手はわかっているの」
 何かを決めたという顔をした。
「じゃあ、話しは早いじゃないですか」
貴子は畳み掛ける。

「あ、相手は淳一さんなの ――――――――冴子姉さんの許婚者」
「え?」
「な!!」
 しばらくの間、由加里と交際を絶っていたために、その名前を知らなかったが、由加里から、その由来を知って、さらに怒りを燃え上がらせた。さらに姉に言われたこと知ると、怒りを複雑な色に塗り替えてしまった。

「そんな!信じてくれないんですか?」
 冴子とは、直接の知己はなかったが、由加里の話を通じて、相当に仲が良いことは、わかっていた。
「で、先輩はどうしてほしんですか?いや、どうしたいんですか?」
 貴子である。今回は、彼女が先に立って、由加里を支えている。
「さ、冴子姉さんにきら、嫌われたことが、まだ信じられない。この疑いが晴れないと生きていられない!」
 言い終わるなり、号泣をはじめた。

「先輩にとって、お姉さんが一番大切なんですね」
「た、貴子ちゃん・・・・・・・」
 もしかして、取り戻すことができるかもしれない。
 由加里はそう思った。大事な二人との関係を、もう一度構築できるかの瀬戸際だった。
 それがあっという間に事切れてしまう。
しかし、それは杞憂だった。
「それは、わかりますよ、みんなでどうしたらいいのか、考えましょうよ」
「私も協力しますよ」
「貴子ちゃん、ミチルちゃ・・・・・・」
 零す涙はもうないと思っていた。しかし、留め止めなく涙はあふれてくる。

――――こんな私でも、味方をしてくれるひとがいる。しっかりしないと、この人たちまで、私を見限ってしまう。
「どうしたら、冴子姉さんがわかってくれるかな」
「もう一度、言ってみたらどうですか?姉妹なんですから」
「それはどうかな?姉妹とは言っては、男のことだから」と貴子。
「でも、相手は中学生じゃない」

  ミチルは、あたかも、自分が大人であるかのように、達観している。
「よほど、その男が好きだったんじゃない」
「先輩、その男って何処に住んでいるんですか?」
「姉と同棲しているの」
「じゃあ、これから行ってみましょうよ、とっ捕まえて、やり込めてやりましょう」
「貴子ちゃん・・・・・・・」
いつになく積極的な貴子を不思議に思い、あるいは、頼もしく思った。

姉のマンションは、駅前のマックから徒歩で五分ほどである。既に、夜の8時を超えている。
「いいの?ミチルちゃん、貴子ちゃん」
「何、言って居るんです?わたしたちが親から大目玉もらうなんて、何てことないですよ」
――――親?
 それを聞いて、由加里は悲しくなった。
「あなたなんて、もう娘とは思いません、勝手になさい」
その言葉は、少女の心の中に侵入して、脳の到るところを傷付けて回る。まるで回虫のように、行くところ行くところを傷付ける。

 三人は、街角からマンションを見張っている。もう10分ほど経つ。
「本当に出てくるのかなあ、同棲してるんでしょう?」
「出てくるって、ミチル」
 貴子は確証があるようだ。
「当たり前でしょう?裏切られたのよ!ふつうだったら追い出すな、だって、先輩のお父さんの名義なんでしょう」
 由加里は目でイエスと言った。
「あ、淳一さん」
「敬称なんて付ける必要はないですよ、あんなおとこのクズに!」
 貴子は、吐き捨てるように言った。
「さ、後を追うよ」
「待って、ミチルちゃん、もう淳一さんが何処に行くかわかった」

「え?」
「実家を知っているから ――――――」
「それって、遠いんですか?」
「邸町よ」
「それって何線? ――――――?あ!まさか」
 
 ミチルは、勝手に自己解決していた。

テーマ:萌え - ジャンル:アダルト

コメント
こんにちは
はじめまして、いつも拝読しています。

本当は気の利いた感想の一つでも書きたいところですが、やはり私にはまだ無理でした。

毎日、更新を楽しみにしています。
2009/02/10(火) 00:44:09 | URL | ベンジン #0MXaS1o.[ 編集 ]
初コメントありがとうございます。
 こんにちは、西宮由加里です。ベンジンさん、初コメント、ありがとうございます。
 
 本来ならば、管理人が挨拶しなければ、ならない所ですが、あいにく不在のために、アルバイトの由加里が代わりに挨拶させて、頂きます。
 
 私の話は、どうですか?管理人が書いたことは、ほとんど、本当のことです。そんな体験談を聞いていただいて、本当に、嬉しいです。お客さまの中で、はじめてコメントを下さったベンジンさんに感謝の言葉もありません。
 
 今後もよろしくお願いします。次回、コメントのおりには、由加里と致しましても、たっぷりとサービス差し上げたいと思います。
2009/02/10(火) 20:18:42 | URL | ueno #-[ 編集 ]
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