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『『兇状もちの少女、あるいは犬』 保健所1』
  犬のように、いいや、今度ばかりは「ように」ではなかった。みずなは自分が四つん這いになっていることに気づいた。立ち上がっているよりも自分にとって自然であることが涙を誘う。
 なんということか本当に人間でなくなってしまったのか。
惨めにも圧倒的な喧噪のなかで少女は引かれていく。嵌められた首輪につながっている鎖と摑もうとしたがうまくいかない。手は両方ともちゃんとした手であるのになぜかかつてやっていたようにものを摑むという機能が完全に失われている。それに突然、気づいたのだが少女は全裸になっているではないか。ほとんど芽乳というより他に表現しようがないだろうが、彼女にとってみれば立派な胸なのだろう、その胸部と恥部が露わになってしまっている。
「ぃいやァ!!」
 教室で、しかもにやにや笑う男子が居合わせる場所でみずなは諏訪良子たちにいつも全裸にさせられていた。そのことがいやでも脳裏によみがえってくる。少女は本能的に胸と股間を隠そうとした、その瞬間、真夏の太陽を何個も集めたような強烈な光に当てられたような気がして失神してしまった。
 次の意識が戻ったとき、少女は檻の中にいた。いままで彼女を拘留していた、人間用の牢獄ではない。文字通りの意味で檻、だ。彼女も動物病院でみたことがあるが、小箱のような入れ物にすぎないのが中からでもわかる。
 
 意識が戻る寸前に良子と伊豆頼子の声が顔面に叩きつけられるように響いたような気がする。「ああはははは!この雌犬、あそこに毛が生えていないわよ!」
「犬じゃ、しょうがないわよねえ、犬じゃ!きゃはははははは!」
 普通は小学生も高学年になれば生えてくるのに、みずなは中学に入っても性器の周囲に毛がまったく生えてこないことがコンプレクスの対象だった。それがクラスの全員の目に晒された日のことは絶対に忘れられない。 
 5月6日のことだ。
 いま、全裸で、しかも四つん這いになっている少女を見下ろしているのは、三人の男女だった。一人のチョビ髭の男性がこの場の支配者だと本能的にわかった。彼はおそらく、父親よりも10歳ほど年齢が高いだろう。傍らに従えている若い男女は部下なのだろう。なぜか、この女性と目がったとき言い知れない安心感が心に芽生えた。
 かつて、少女があこがれた剣道部の先輩に似ていた。着衣でも筋肉質であることを見る人に訴えかける。しかし、だからといって筋肉がむきむきというわけではなく、均整のとれた身体からは凛々しさだけが溌剌とした風とともに伝わってくる。
 少女は、かつて眞子に向けた、縋るような視線をぶつけた。教室でいじめられているとき、彼女は気づかれないように密かに無言で助けてとメッセージを送っていた。むろん、絶縁宣言をこちらから叩きつけた以上、あからさまに助けを求めるわけにもいかず、彼女の顔が少しでも見えたとたんに視線をずらした。そのたびに涙が滲んだことを思い出す。
 あれは、いったい、何年前のことなのだろう。
 ふと、カレンダーを見て少女は驚愕した。それは無機質で殺風景な部屋の、クリーム色の壁に貼られていたのだが、1979年という年号が目に入ってきたからだ。おかしい、今は2013年のはずではないのか?自分は時間を移動したとでもいうのだろうか?
 それにしては、上司らしい男性が携帯電話を使っている。
 しかし、彼女は彼の言葉によって地面が崩壊するような衝撃を受けるのである。
「ああ、殺処分、この1歳の雌犬のことですね、司法省の役人が3時には到着するはずですよ。ええ、はい、滞りなく対処します」
 この場にいるのはみずなだけだ。しかも、自分が犬であることを無意識のうちに受け入れていることに気づいて二重のパンチを受けた。
 いや、それどころではない。自分の命が危ない。だが、なんということだろう、自分は人殺しなのだ。そうなった時点ですべてをあきらめたはずではなかったのか。死刑になることを望んだはずだ。それなのにいざ自分が死ぬとなるとこのざまだ。そう考えると、自分をあれほど苦しめた諏訪良子がかわいそうになった。わずか中学二年生のみそらで望まない死を無理やりに強制されたのだ。彼女はもう学校に行くこともできないし、彼女が好きだったアイドルのコンサートにも行くことができない。そう仕向けたのは誰でもない、青井みずな、なのだ。
 罪悪感に打ち震える少女は、やはり、この女性職員の視線に心が暖められる思いがした。チョビ髭の上司と若い部下が退室すると、彼女は顔を檻に近づけてきた。双眸には悲しみとも怒りともしれぬ涙が光っている。
「ごめんなさいね、人間を許してね、あなたはまったく悪くないのよ、本当に悪いのはあなたを躾けなかった人間なのよ。だけど、私が助けてあげる。きっと、あなたを助けてあげるわ」
「私は、人間よ!青井みずなっていう歴とした名前もあるのよ、お願い、ここから出して、服を着せて!!」
 しかし、この人にも自分の言葉は届かない。しかし、彼女が自分を助けると言ったことは確かだった。彼女の胸にはIDカードが縫い付けてあって、桐原桃子、獣医、保険所職員という文字が目に入った。そのなかでもっとも少女の目を引いたのは保健所という三文字だった。
 かつて、ニュースで保護期間を過ぎ犬や猫を保健所で殺してしまうという事実を知ったときには、軽く可愛そうに、という少女らしい感慨を抱いただけだった。いま、それが自分の身の上に起ころうとしているのだ。人間として死刑になるならともかく、動物のように処分されるなんてたまらなくいやだった。あの地獄のような教室とまったく変わらないではないか。
 諏訪良子や伊豆頼子たちクラスメートの、自分を嘲笑う声が耳に響く。
 自分は犬なんかじゃないちゃんとした人間よ、人間の女の子よ、とみんなに無言のうちに叫んでいた。
「ねえ、ねえ、どうして人間が通う教室に犬がいるの?」
「それもいやらしい雌犬よ、いやあねえ」
「わんわん、ここは犬がいちゃだめなのよ」
「あははは、犬に言葉が通じるわけないじゃん。愛犬家によくいるんだってね」
「変な人たち、犬を人間みたいに何人とか言う変態さんでしょ?」
「だけど、そんな変態でもこんな駄犬を飼おうなんているわけないよね、あははっ」
 下手をすると授業中すら情け容赦のない罵りに少女は晒された。生徒たちの大勢に乗るのが正解と、いじめっ子たちのやっていることに協力する教師すら存在した。
 休み時間になると教師の目がなくなる分、それでも大人の目は彼女らの行動を制御する程度の役割は果たしていたらしい、いじめっ子たちの行動は派手になっていた。犬ゆえに着衣でいるのはおかしいということで、全裸にされ、性的な辱めまで受けた。何日かそれが続いたのちに、授業が終わると自分の手で脱衣するように、躾けられた。そのような絶望的な日々の後、諏訪良子を絞殺すまでに至る。
 
 今や、完全にすべてを失った少女にこのような視線を向けてくれる人がいる。
 彼女は自分が人殺しになった、イコール、すでに自分を死人だと見なしており、過去はすべて同時に消滅したと決めつけていた。ゆえに、母親をはじめとする家族は彼女にとって死んだも同然だったのである。彼女自身の手で殺したのだ。
 ありったけの声を出して桐原桃子なる獣医に向かって彼女は吠えた。
 荒々しい音ともにドアが開けられると、若い男が桃子に向かって言った。
「まさに殺処分されるべき犬っころよな。我々は警察とは違うが、世の治安を守るために存在すると思うと誇らしいとすら思うよ、桐原さん」
 彼女はその男には無感情で答えた。
「ええ、そうですね」
 その言葉が少女の耳に入ってきたとたんに絶望のあまり吠える気力すら失ったが、おそらく、それが大人の処世術なのだろう。彼女は仕方なく、あるいは彼を自分と同等の人間だと見なしていない故に自らを露出する価値を認めないのだろう。
 そう思うと凍えきった心が温まる。

 保健所勤務の獣医である桐原桃子は、司法省の役人の立ち会いで、彼女自身の手で殺処分を行う対象を冷たい目で見下ろしている。彼女の同僚である田沼意三は彼女にとって生きた人間ではなくて単なる人形にすぎない。自分と通ずる言葉を持たない相手など、人形と何が違うというのだ。
 桃子は可愛い子犬を目の前にして舌舐め釣りしていた。
 偶然にも三日前にこの犬とそっくりの特徴を持った白い犬が保護されていたことは、この上ない幸福だった。たとえ、これほど彼女の趣味にあった可愛らしい犬を目の前にしたとしても社会的地位を失ってまで手に入れたいとは、いや、心の奥底では思うが、便宜的に思わないとしておこう、とにかく、若い女性獣医は身分をかけてこの犬が気に入ったのである。
 プロフィールを聴いて思い当たることがあったことも、これから彼女がしようとしていることを決定するのに一助があった。
 この犬はある中流家庭で育てられていたが、その家の娘が自殺してから今までは決して起こしたことのない異常行動を示すようになったらしい。脱走しようとしたり、飼い主に噛みついたり、挙句の果てが少女の葬式に訪れた同級生の少女、諏訪良子の首に噛みついて窒息死させるに至った。
 人間を汚させるだけでも十分に殺処分の可能性があるのに、致死では、いくら遺族が許したとしても死は免れようがない。被害者が存命ならば、犬の命の彼の胸先三寸で決まる。太陽国の法律でそうなっている。執行は保健所で行われ、実行は獣医、なお、司法省の役人が見届けることにもなっている。
 それ以前に行われるのは、犬を飼っていた家族との最後の面会である。たしか青井という苗字だったはずだ。その青井家では長女を失ったばかりか愛犬まで失うのである。
 桃子は、歪んだ愛情を多分に含んでいながら犬に対して真剣なまなざしを向けていた。犬は主人に対して忠実なものである。一家の長女を主人、いわば、群れのボスとしてみなしている例は少ないが、必ずしもありえないということではない。彼女が死んで、精神的に混乱していてもおかしくない。もしかしたら、被害者の少女と葬式の主体である自殺した少女の間に何かトラブルがあって、犬が目撃していたらどうだろう。あるいは、実際に立ち会っていなくても、犬には人間にはない超常的な能力が備わっているとも考えられる。そうした能力を駆使して、主人の復讐を行ったのではないか?
 それは桃子の想像にすぎないが、最初の邂逅、犬とはじめて目があった瞬間に、すでに酷似した犬を保護していることを思い出し、この犬を救出する手立てを思い浮かべる、いや、それだけでなく実行に移そうというのだから、彼女がいかに激しく一目惚れしたのか疑うべくもないだろう。
 その前に大事な行事が待ってい。る受刑者が執行される前に家族との面会が待っている。
 初夏の太陽が室内に入り込んでくる。この犬にとってみればただまぶしいだけだろう。しかしながら、桃子にはそれが彼女の未来そのものにしてやる自信があった。そのための計画はすでに進行中、であった。 

テーマ:官能小説 - ジャンル:アダルト

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