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『由加里 98』
「そうだね、西宮さんとテニスが出来る日が楽しみだね、退院したら、どう」
「ええ・・・・」
 まさに猛禽類の目をして、照美は、こともなげに言った。
「改めて、西宮さん仲よくなりたいな。仲が良いのに、姓で呼び合うなんておかしいでしょう?私は、由加里ちゃんって呼ぶわ、由加里ちゃんも、私のことを照美ちゃんって呼んで・・・・いいでしょう?」
 心筋梗塞を起こすのではないかと思われるほどに、胸が痛くなった。この人は、いつ、いかなる状況にあっても自分と同席している限り、どのような方法を使ってでもいじめようとする。常に攻撃の手を休めようとしない。怖ろしい、本当にいかようにも表現しようもなく、目の前の美少女が怖くてしょうがなかった。
 
 鋳崎はるかによって、小説まがいのものを書かされて、それなりに表現力に自信がついてきたとは思うが、この人の美しさと恐怖を正面から描けるほどに、文章が上達したとはおせじにもいえないだろう、たとえ、自画自賛とすらも言えないということだ。
もしも、それが可能になった時には、少女もこの国の文壇の一角を占めるようにはなっているのではないか、そう思わせるほどに、海崎照美という同級生が怖ろしくてしょうがいないのだ。
「そ、そうで・・そうね、かい、海崎・・照美・・・・ちゃん!とテニスが、できたら、私もう、うれしい・・・です・・・・」
「どうしたの?由加里お姉ちゃん、日本語がおかしいよ」
 普段、姉に窘められていることを、郁子はそのまま返すことで溜飲を下げようとした。
「ううん・・・なんでもないのよ・・・・うう」
「折角、入った部活を止めちゃ、もったいないじゃない?どうして、視線を外すの?友だち同士なんだから、じっと見つめ合わないとだめでしょ?由加里ちゃん」
自分で言っていて、照美はおかしかった。友だちと恋人を混同している、わかっていて、やっているのだが、我ながらおかしい。だが、それ以上に自分の命令に素直に従う事の方が面白い、というよりも滑稽で哀れだろう。
思えば、同じ教室に入ったときに観た、あの大人しげながら明るい女の子をここまで追いつめたのかと思うと、自分のしでかしたことのように思えない。誰かをここまで傷付けることはおろか、自分が受ける傷以上に、他人の痛みに敏感だったはずだ。
 攻撃対象が、たとえ、由加里限定だったとしても、あまりにも度を超していないか、海崎照美は、人並み以上に優れた知性を与えられて生まれただけ、高田や金江のように愚かになりきれない不幸というものを存分に味わっていた。

「うん、て、照美・・ちゃん」
 一方、自分を廃人寸前にまで追いつめてきた相手に、ちゃんづけするとは、あまりにもふしぎなことだと言うべきだろう。それでも、かつて、目の前の悪魔と親友になりたいと思った自分を思い出して、未だに、照美の魅力に取り込まれている自分を再発見して、子愚かしい気分にもなる。こうなったら、相手が仕掛けてきた芝居にのってやろうとした。自分は海崎さんと友だちになりたかったのだ、目の前の悪魔が本当は好きでしょうがないのだ。
「ど、どうして、こうなるまで、親しくなれなかったんだろうね、かい、照美ちゃ・・・・ちゃん」
「・・・・・」
 照美は意外だった。由加里の方から反撃してきたのだ。これは挑戦でなくて、何をそう呼べばいいのだろう。
「きっと、由加里ちゃんが、物堅かったからじゃない」
「わ、私が・・・!?あぁ・・・いえ」
 思わず、激昴してしまった自分を、由加里は押さえるのに苦労した。意味がわからないと言った顔を郁子はした。
「じゃ、これからは仲良くできるわよね、由加里ちゃん」
「はい、うん・・・・・」
 押し黙ってしまった由加里に、照美はなかなか言うべき言葉を見つけられずにいる。
「じゃあ、今度、みんなで遊びに行こうよ」
 無邪気な声がした。
「由加里お姉ちゃんもすぐに退院できるもんね」
「うん・・・」
「どうしたの、退院するのがいやなの?」
 いやなわけがない。ただ、あの看護婦が自分をそう簡単に手放すとは思えない。この病院の実権を握っていると思われる、あの似鳥可南子の魔手からそう簡単に離れられるとは思えない。
「西宮さん、これからは親友なんだから、一緒に学校に行こうよ」
「ぁ、ひ、か、海崎さん・・・・」
 まるで吸血鬼がそうするように、由加里の細首に噛みつかんばかりの勢いで飛びつく。とたんに性器に押し込まれた異物が蠢く。
 郁子は、両者が互いに姓で呼び合っていることを、決して見逃していない。この二人には何かがある。それは、友人関係と呼称される性質のものではないが、第三者が入れないような、何か深い関係であることだけは確かだった。そのくらいのことは洞察できた。だが、そのように見抜いている自分に気づいていないだけである。
自己に対する内察、それをこなすにはまだ郁子は幼すぎたのかもしれない。ただ、そのような彼女の性質こそが、照美を惹き付けた要因にはちがいなかった。

「西宮さん、おっと、由加里ちゃんもそろそろ疲れてきたみたいだから、おいとまするか、あ、こんな時間か、試合が始まってしまうわ、郁子ちゃん、急がないと・・・」
「郁子?」
 由加里は、妹が行ってしまうことに納得できない顔を見せた。それを目敏く見抜いた照美は、由加里の耳元に近づくと郁子に知られないように、囁いた。
「もしも、これから郁子ちゃんがあなたに頼むことがあったら、それを拒まないように、私は期待しているわ・・・ふふ」
「・・・」
 郁子が、すでに病室から出てしまったことを確認すると、そのかたちのいい首筋にぺっと唾を吐きかけた。今までやってきた友だちごっこに嫌気が指したので、それを拭い去ろうとしたのかも知れない。
二人がいなくなっても、由加里は陰々滅々の状況にあった。吐きかけられた唾を拭おうとも思わない。そんな気力すらとっくに消え失せている。
 それにしても、郁子が自分に頼むとはどういうことだろうか?まるで、自分に対するいじめの陣営に彼女までもが絡め取られてしまったかのように思える。
いままで、自分の思うように動いてくれた、さながら、都合のいい人形のような可愛らしい妹がその自我を芽生えさせ始めた。その事実を由加里は見抜けなかった。そのこと事態が、由加里にとってみれば自分に対する反抗にしか思えなかった。
 それは同時に、自分に対する一種の裏切り、好悪の二元論に還元すれば、「嫌い」の一言に、自分に対する思いが書き換えられたように思えるのだった。
 それが自分に対するいじめと連動して起こっただけに、それが照美の作為であり、郁子の本心から起こった感情でないことを密かに期待した。しかし、いくら、自分にそう言い聞かせても、なかなか納得できない。妹にさえ見限られる。血が繋がっていないだけに、もう二度と修復できないように思われた。

 知的な美少女にとって耐え難い事実であろう。

 家族だけは、絶対に自分を裏切らないと思っていたのだ。
はじめて、照美に敵意を感じた。犯しては絶対にいけない、大切な領域にまで手を出し始めたのだ。妹を籠絡して、一体、何をしようというのだろう。その答えはあまりにも単純で明解のために、あえて、口に出そうとも思わない。
「郁子にまで手を出すなんて・・・・」
「どうしたの?由加里ちゃん、暗いじゃない」
 年老いた看護婦にブランドを開けられるまで、誰かが部屋に入ったことにさえ気づかない由加里だった。


 さて、病院を後にした二人は、しばらくの間、互いに言葉を交わさなかった。機先を制したのは、郁子だった。
「由加里お姉ちゃん、なんか、暗そうだった」
「そりゃ、あんな病室に閉じ込められていれば、大抵の人間はああなるわよ。ま、夏休み前に退院できるらしいなら、いいじゃない」
「本当にできればいいんだろうけど・・なんか、最近、冷たいんだ」
 八つ当たりなのかと、当たりを点けたが、そのまま言葉にするわけにはいかない。
「こんな可愛い妹につれなくするなんて、考えられないな」
「本当にそう思う?」
 照美の前に身体を投げ出すように立ちふさがると大きな口を開いた。
「ああ、当たり前だ」
「なんで、照美お姉さんの妹に生まれなかったんだろう、不幸よ」
「・・・・・・・」
 言いたいことを全部言わせる、胃袋が空になるまで吐かそうと、照美は考えた。
「でも、お姉さんが照美お姉さんでも、郁子を嫌いになってたかも・・・・誰だって、嫌うんだ」
おや、と思った。これは口を挟まないわけにはいかない。
「どういうこと?だれが郁子ちゃんを嫌うって?」
「みんな・・・・・おうちも、学校も、みんな」
 郁子の真意を摑む、いや、その片鱗に触れることすらできないままに、はるかの試合会場に到着してしまった。
アスリートに限らず、何かに本格的に取り組んでいる人間、あるいは、そういう人間を収容している場所というものは、そうでない人間にとって一種独特のプレッシャーを抱かせるものである。この前、西宮冴子に連れられてライブ会場に出向いたときも、似たような感覚を抱いた。
「ここで私たちもやるんだからね」
そう冴子に肩を叩かれても、なんの実感も備わってこなかった。
県立競技場からは、楽器の調節音の代わりにラケットとボールが当たる音、それに、女性のものと思われるかけ声が聞こえる。それらは二重奏を奏でているようだ。
「ねえ、はるかお姉さんの試合は何処なの?」
「確か、二番コートだと聞いていたが・・・ああ、あそこだ。もう始まっている」
 照美が指さす先には、はるかがいた。普段の彼女よりも何倍ましに精悍な、ほとんど大人としか思えない女性が咆吼していた。郁子の目には、ここはアフリカのサバンナに見えた。まったく新しい世界が広がっている。自分は、由加里たちが所属する旧世界から旅立って新たな世界へと足を踏み入れたのだ、そう思えた。
隣には、照美もいる。そして、百合恵、自分の家族だと思っていた人たちよりもずっと自分を大事にしてくれる、 新しい存在、自分はいるべきところに足を踏み入れていると感じることができた。ようやく居場所を取り戻したのだ。


テーマ:官能小説 - ジャンル:アダルト

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