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『おしっこ少女 11』


 目を覚ました少女は、まず自分が何処にいるのか探した。
「ウッ・・・・!?」
 蜂に刺されたかのような痛みが股間を突き刺す。中学生は眉を顰めた。それでも、意識の覚醒がうまくいかない。今は、何年、何月、何日なのか、そして、現在の時刻はいつか、すべてが曖昧模糊の海に溺れている。
 しかし、時間が進むにつれて、自分が置かれている状況がはっきりしてくる、現在、過去、そして、想定されうる未来が明かになっていく。
 「あ?!・・・・よかった」
 少女は胸を撫で下ろした。
 彼女の中では、現在は土曜日の夜ということに決定されたからだ。

 そんな少女を晴海は微笑を浮かべながら立っていた。その手にはワインが入ったグラスが握られている。
「ア・・・・?」
 少女を見下ろす。晴海は、弱者に向ける強者の笑いを隠さずに言う。
「今は、日曜日の夜よ、まひるちゃんたら赤ちゃんみたいに寝込んでいたわよ」
「そ、そんな・・・」
 美しい女性の声を聴いたとたんに、少女はおろおろし、自分の携帯を探した。
「あはははは、嘘よ、今日は土曜日よ」
「ウ・・う!?」
 恨めしげに睨む姿も可愛らしい。
 女性捜査官は音も立てずに少女に近づくと自らの左手を彼女の肩に添わす。そのあまりの冷たさに、ドライアイスに触れるような冷たい熱に中学生の女の子は粟をプリンの肌に作る。
 晴海は、優しく微笑むと言った。鏡を見るように促して・・・。
「それよりも、そのネグリゲェはどうかしら?あなたの身体に合わせた特注品なのよ」
「え?ぁ・・・」
 思わず、胸と股間を隠す。

 エナメル種の黒光りを発する生地は、さきほどまで少女を閉じ込めていた悪魔の衣装ではないが、しっとりと少女にまとわりつく。だが、胸と股間の部分は、ナイロンのような光沢があり、かつ、半透明な生地で覆われているだけだ。乳首、性器ともに、少女の局所は哀れにも外部に晒されている。
 晴海は少女の背中に回ると、少女をベッドに押し倒しながら背後からキスをする。
「う・・・うぐ・・・ぅ」
 今の今まで大人の女性が呑んでいたワインのせいだろう。唾液が流れてくると、恍惚とした気分に襲われる。
「ねえ、この胸、もっと大きくなりたい?」
「ぅあ・・はあ・・ぅあ・・あぅ、いや」
 まひるは、芽乳房に毛が生えたていどの胸を揉まれながら喘ぐ。晴海の吐息が冷たいのに、やけに生暖かい。背後から伸びてくる手は少女の乳首を摘んだり抓ったりして心ゆくまで弄ぶ。力の加減によって、少女の口から零れる喘ぎ声や表情が変容していくのを、つぶさに観察しながら、女性捜査官は悦に浸っている。
 しかし、次の瞬間には、自分は何をやっているのかしらと、我に帰り自分の手が行っている行為を第三者的に観察したりする。
 そんな冷めやすい自分に嫌気を感じながらも、少女を所有する行為を続行する。やがて、女子中学生の耳たぶを唇で摘むという暴挙に出た。
「ああありゅるるるる!」
 まるで宇宙人の断末魔のような声を出して、性器を刺激されずにオルガルムスに達してしまった。少女のはち切れそうな大腿に熱いものが流れる。それは血潮のように思えた。このまま出血多量で死んでしまうような気がした。畏れおおい快感のために、意識が混濁する。倫理的にも、そして、少女が生まれながらに持ち得ている自尊心の高さからも、それを丸ごと受け入れることは至難の業だったのである。

「はぁ・・はぁ・・・はぁ」
「ふふ、本当にいやらしい娘ねえ、胸を揉まれるだけでイっちゃうなんて、あれ、イっちゃうって意味がわかるのかしら?意外と遊んでいるのね、同級生の男の子と遊んだりしているのかしら?」
「ぁハア・・・ア・・・・・ぁ」 
 少女は、気だるい安逸の中、まるで天界の住人のうわさ話を聞くような心持ちだった。だがら、その内容がいかに自分を侮辱するものであっても、彼女の感情の海に小波すら立てることはなかった。
 しかしながら、それが家族に関する内容になると、少女の顔色が変わった。
「一体、どういう家庭からこんなインランな女の子が育つのかしら?」
「ち、違う!ゥア・・あ!」
 無意識のうちに動いた身体は自らを官能の渦に貶めた。それは抗議の意思を意味していたが、自らの痴態の前に完全に説得力を失ってしまった。
「何が違うのかしら?」
 女性キャリア警察官は、大腿を濡らす愛液に手を浸すと、少女の鼻に塗り付けた。
「ご自分のいやらしい液はどんな臭いがするのかしら?」
 返す刀で自分の指を整いすぎた造形物である、鼻に近づけるとわざとらしく鼻腔を動かして見せる。
「本当に、すごい臭いね」
「う、嘘です!うぅぅぅ!!」
「まひるちゃん、こんなひどい臭いを嗅ぎ分けられないなんて、相当ひどい蓄膿症じゃないの?いい耳鼻咽頭科の
医者を知っているわよ、紹介しようか?」

 晴海の慧眼に睨みつけられると、少女は思わず目をそらした。
「どうして、逸らすの?自分に自信がないんでしょう?家族にね」
「そ、それはどういうこと!?」
 自分よりもはるかに力が上の人間に敬語を使うことも忘れて、少女は可愛らしい顔をくしゃくしゃにして抗議する。
 顕わされた美少女の感情は、晴海にとって煌めく貴重な宝石に思えた。が、しかし、その美しさに視力を奪われている場合ではない。
「もしかして、家族に愛されていないって思ってない?」
 少女は、華奢な筋肉にありったけの力をこめて殴りかかる。
 けっして、言ってはいけないことを口にしてしまったのである。しかし、そんなことは織り込み済みである。
 すべてを見透かしていたかのように、晴海は身体を動かした。
 涙の珠を中空に散らしながら、襲い掛かってくる少女の鉄拳をいとも簡単に握りつぶす。
「っうううう!?痛い!!」
「我ながら、大人げないわね、キャリアとはいえ、私は柔道の有段者なのよ」
 
 この細い身体からどうしてこんな強靱な力が生まれるのか、少女は不思議でたまらない。そうか、イチローも細いのかと、床に押し付けられるという恥辱の中で、何処か冷静な自分を発見した。
少女は頭を床に押し付けられ片腕を限界まで折られるという、テレビドラマでよく見る犯人のような姿態を強制されている。
「ほら!正座するの!」
「あぎぃ!?痛ぁあ!!」
 ハイヒールで大腿をしたたかに蹴られた美少女は、整った顔を苦痛に歪めた。
涙が頬を通って鼻にかかる。力によって無理矢理に自己の意思を踏みにじられる。被虐のヒロインは、それをまさに味わっている。
「ウグググ・・・・」
「ごめんなさいね、私は軽いから痛くもないでしょ?」
 何と、残酷にも少女を椅子にしてしまった。

「あうううぅう・・・・アクゥゥゥグググィウウゥ・・・・ウウ・・ウ・」
「何をそんなに悲しくて泣いているのかしら?」
 泣き声が小さくなっていくのを聞いて、女性捜査官は少女のこころの危うさを訝った。少女は明かにガラスの心を持っている。これ以上、ぎりぎりと力を入れたらすぐにでも割れてしまいそうだ。だが、その可愛らしい顔が涙に濡れて真っ赤に色づくのを視ると、簡単に鞭を収める気にならないのだった。

 一方、被虐の美少女は、しだいに自分の身体にかかってくる晴海の重量を感じながら、心が粉砕されるのを、そのリアルな音とともに聞いていた。
 春実は、それほど力を入れていないのだが、少女は全身の骨が折れてしまうような恐怖を味わっている。
「ゥゥゥ・・うう・・いぃ、痛いです・・・お、お願い・・うう」
「答えなさい、まひるちゃんはどんな目に遭っているの?」
 言葉で説明しろと、言うのだ。それは同時に、自分の身体に自ら奴隷の烙印を押せと命じているに等しい。何故ならば、言葉をものすということは必然的にその内容を理解せずにはいられないからだ。それ相応の知能を持ち合わせている場合、解釈せずに読むことは不可能である。
「ウウ・・ウウ、うう、ま、まひるは・・」
「ちゃんと、フルネームで言いなさいね」
 腕を捩られた痛みに、少女は苦痛の涙を流した。想像を絶する恐怖は、痛覚を何倍にも敏感にさせているのだ。
「ウググ・・痛いぁあ!・・ぁぁ、さ、さたけ、ま、ま、まひるは、あ、あさぎさんに、座っていただいています・・・うう」
 普段、安藤たち五人から受けている残酷ないじめが、少女をしてそのような言い方を強制せしめたのだろう。
 だが、春実の耳には新鮮に響いた。嗜虐の悦びが、それが例え一瞬であっても、この細身の美女の身体に広がっていったのである。
「じゃあ、まひるちゃんは椅子なのね」
「ウ・・ウ・ウう、は、ハイ・・ウうう」
 少女の中で、自尊心と少女の年齢や性に相応な優しさを求める心が互いにせめぎ合っている。
 女性キャリア捜査官は、少女のそんな内面を外から冷徹に観察しながら、かつ、嗜虐の愉悦にも浸っている。本当に、忙しい女性ではある。
「このまま、ずっと、こうしていようかしら?生の身体は座り心地がいいわね、適度に柔らかいし」
 理性が歪められている少女にとってみれば、晴海の言っていることは真実に聞こえる。果たして、自分は永遠にこのまま固定されてしまうのではないか、そのような恐怖が屈辱的な姿勢をさせられている少女の鼻に侵入して、性器まで貫く。
 耐え難い鼻腔のむず痒さに噎せながら、女子中学生はその小さな身体を張りつめて必死に椅子の役割に徹しようとする。その健気さに愉悦を深めながらも実に奇妙なことだが、この美少女に同情する自分を再発見して苦笑する。実に、人道と道徳律に反することだが、自分はこの哀れな少女を恥ずかしい服を着せ、性的に陵辱した挙げ句、その震える小さな背中に人間椅子よろしく座り込んでいるのだ。
 とうぜんのことながら、彼女を構成している人格の多勢は、少数派の意見などに耳を傾けるはずがない。
「このまま、お外に出ようか?」
「ひ!?」
「ふふ、この世の終わりみたいな顔しちゃって、ふふ、本気よ。このいやらしいおまんこを晒しながら、みんなに見て貰うのよ」
「そ、そんなのって・・・」
「ふふふ、冗談よ。そんなことしたら、警察に通報されるじゃない」
「ウ・ウ・・ウウウウウ・・うう!?」
 冗談が通じないことを分かっていて、少女の口に残酷な言葉をミルクに溶かして流し込んでやった。号泣する少 女の背中に乗りながら、晴海はまったく後悔していないはずだった。


 
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