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主人公はu15の少女たち。 主な内容はいじめ文学。このサイトはアダルトコンテンツを含みます。18歳以下はただちに退去してください。
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『由加里 103』

 真野京子と藤沢さわがいなくなって一人になると、否応無しに不安が襲ってくる。たった数秒しか経ってないので日が傾くはずがない。だが、突如として目の前が真っ暗になったような気がする。
 明日が来るのが怖い。ずっと、このまま時間が止まっていればいい。そうすれば重大な決断をしなくてすむ。
 学校へ行くべきか、行かざるべきか、そのことで少女の頭の中は一杯になっている。どうしたらいいのかわからない。
 何が真実なのかわからない。わけのわからないままに、携帯はベッドの隅に投げ遣った。誰からの着信も受け取りたくないし、メールでさえ目を通したくない。疑念が疑念を呼んで、それが作った視界ゼロの海に溺れそうになるからだ。

 だが、一方、それに触れたいという気持も押さえられない。もしかしたら、完全に失われてしまった人間との結びつき、一般にそれは友人と呼ばれるが、それともう一度、ネットを再連結するように回復できるかもしれない。 そう思うとどうしてもすがりたくなる。  
 もしも、すべてがウソであり、恥をかくよりも、この切ない気持ちを満足させるために、溺れる者わらを掴む思いに賭ける方を選ぶべきだろう。
 この小さなカード状の物体がそれらとのジョイントになってくれる。
 だが、それがすべて嘘だったらどうなのだろう。自分はもう立ち直れないだろう。生きて屍になるようなものだ。
 ちょうど立ち上がってベッドに近づこうとしたとき、招かれざる客が訪れた。
 ドアが開いて無遠慮にも視界に侵入してきたのは、妹である郁子だった。
「何しているの?入るときはノックぐらいしないって言ってあるでしょ?!」
 姉の剣幕など何処吹く風と、妹は姉の機嫌を伺った。
「せっかく、退院できたのにどうしてそんなに怒っているの?」
 退院できた・・英語で言うcanの語感を伴っていたことが、由加里の堪忍袋に罅を入れさせた。
「出ていって!!」
 危うく枕を投げつけようとしたが、それを躊躇させたのは、郁子が持っていたものだった。
「い、郁子!!どうして、そんなのものを!?一体、何処から持ち出したの!?」
 理性を失った由加里は、郁子の髪を摑んで床に引きずり回していた。圧倒的な力を持つ者が持たざる者に対してその力を行使する。その恐怖を痛いほど知っている由加里が、気が付いたら同じ事をやっていた・・・・それを恥じるとともに、矛盾することだが、それをさせた妹を恨んだ。

 彼女が手にしていたもの、A4の茶封筒は、それほどまでに少女に衝撃を与えるものだった。何となれば、それは知的な美少女が誰にも、特に家族に知られたくない秘密だからだ。
 鋳崎はるかの命令によって否応無しに書かされた、性的な描写を含んだ小説や漫画・・、どうして、郁子がそんなものを手にしているのだろう?机に隠していたはずなのに・・いや、どうして、彼女がそんなことを知っているのか、いいや、いつからその存在に気づいていたのか、まだ10才にすぎない妹が・・・。
 沸き起こってくる羞恥心にもかかわらず、由加里は、涙を湛えながら妹を叩きのめしていた。
「ぎゃあ!やめて!やめて、照美お姉さんに言いつけるよ!」
 その一言は、由加里の心臓を貫いた。銃弾でなく言葉で人を殺せるという、ハリウッド映画なのか、何かの小説なのか、出典は定かではないが、その言葉の意味を少女ははじめて理解した。どうして、妹が海崎照美を知っているのだろう?頭の中が真っ白になった。
「・・・・・・郁子!!?どうして!?」
「あたしの言うことを聞かなかったら、これをママに渡すよ、由加里お姉ちゃんの部屋に在ったってね」
「郁子!!」
 絶望の淵に追いやられた由加里は、郁子から封筒を奪うべくさらに暴力を振るい続ける。めちゃくちゃに髪の毛を引っ張って、その小さな頭を殴りつける。三発目を喰らわせようとしたところで、由加里は信じられない光景を目にした。
 郁子が手にしていたのは携帯だった。どうして、彼女がそんなものを持っているのか・・?さらに信じられないことが起きた。
「て、照美、お姉ちゃん!助けて!!」
「ばかなことを!おもちゃでしょ!よこしなさい!!」

 矢理にふんだくった姉は、自分の予想が完全に楽観主義に裏付けられていたことを思い知らされていた。
「ふふ、退院、おめでとう、西宮さん」
「・・・・!?」
「あら、親友を無視するの?!」
 親友という単語にやけに語気が強められていたことに、由加里は命の危険を感じた。
「いえ、・・か、海崎さん・・・・あ、りがとうございます・・・」
 サラリーマンよろしく、電話中に頭を下げる姉を郁子は蔑みの目で睨みつけた。
「そ・・・・そんな・・・どうして?!」
 眼球が溶けてしまうのではないかと危惧した。それほどまでに夥しい量の涙があふれてくる。あまりにも熱くて頬が焼けそうだ。
 そして、当時に照美にさんざん弄ばされた性器の周囲が疼くのがわかる。今の今、妹の前で局所を露出させられ辱められる映像が浮かんできた。心なしか、膣が湿ってきたようだ。
「察しの良い西宮さんなら、わかってくれるでしょう。私が何をあなたに求めているのか、答えてごらんなさい」
「・・うう、お、お願いですから・・・・」
 郁子にはかかわらないでください、という一言がでてこない。そんな言葉が無意味であることは、勝利宣言をする郁子を観て痛いほど理解したからだ。
「私に、何をしろと?」
「そうねえ、まずは、郁子ちゃんのお願いを聞いてあげなさい」
 いったい、自分に何をさせようというのだろう。戦慄に似た感覚が全身を貫く。
 郁子は、あたかも姉の反応を見るように言葉を咀嚼した後に、上目遣いになった。そして、一気に言いのける。
「あたしのこと、お姉さんって呼んでよ」
「・・・・・?!」
 あまりに非現実的な要求。
 姉の沽券に抵触する物言いに、由加里は言葉を失った。しかし、それを受け入れないわけにはいかない。何となれば、彼女の傷口に笑いながら塩を塗りつける悪魔が携帯の向こうに鎮座しているのだ。
だが、儀式として疑問を妹に投げかけてみる。
「一体、何を考えているの!?」
「由加里おねえちゃん、この封筒、ママに見られたくないんでしょう?」

 辛くも携帯によって虎穴から逃れて涼しい顔の妹はこともなげに言う。
「郁子、その中身を見たの?だめ!見ちゃ!!」
 妹のようすからまだ見ていないと判断した知的な美少女は再び、郁子に飛びかかろうとした。しかし、その瞬間に氷の槍が彼女ののど元を貫いたのである。
 携帯の向こうから響いてきた美少女の笑い声は、それだけで由加里の心臓を止める力を有している。
「う・・・」
「郁子お姉さんよ、由加里!」
 本能的に右手が上がったが、とっさに照美の美貌が脳裏をよぎった。思えば、携帯という憎むべき手枷、足枷によって、常に由加里は縛られて行動の自由を奪われていることを思い出した。
「西宮さん、お姉さんを呼び捨てにするのはおかしいと思うわ。郁子ちゃんはあなたのお姉さんでしょ?」
 完全に照美は遊んでいる。普段、自分をいじめている時とも様子がどこか違う。いつもならば、自分に対する憎しみが先立っていたはずだ。それが、完全に面白がっている。他のいじめっ子たちのように由加里をおもちゃとしてしか見なしていない。非常に不思議な言い方になるが、とても淋しいような気がした。
 妹は、こともなげに言い放つ。
「郁子おねえちゃんよ、由加里!」
「いやよ・・そんな、どうして?」
 困惑する由加里がどうして携帯を手放さなかったのか、それは進んで照美の奴隷になっていたということだろうか。藤沢や真野、それに鈴木ゆららたちとの間につながったと、知的な美少女はそう見なしていた相手よりも太いつながりを、こともあろうに自分に対する最大の加害者に求めていたのかも知れない。
 その加害者はいつも放送室で、由加里を打つような言葉の鞭を振るった。
「西宮!?」
「ハイ・・うう、も、申し訳ありません」
「私に向かって謝ってもらっても困るのよ、あなたがそうすべきは郁子ちゃんでしょ!?」
 その時、何故か、藤沢や真野、それにゆららの笑顔を浮かんだ。そうだ、自分には味方がいるのだ。少し待てば、きっと、みんなが自分を助けてくれる。根拠もない担保が由加里を力づけた。そのことが、我慢することを告げた。
 今、搾っている乾いた布からはもう、水滴がほとんど出ない。しかし、渾身の力を込めて絞り込んだ。すると、自尊心という水滴がひねり出てきた。
「い、郁子おねえちゃん・・・・」
 「そうよ、よくできたじゃない、由加里、ママたちの前では、遊びでやってるって言うんだよ」
「まさか、みんなの前でもそうするの!?郁子!?」
「郁子お姉ちゃんでしょ?」
「い、郁子・・・お姉ちゃん・・やっぱり、いやよ!どうしてこんなことを!?」
 まるで分裂した自己と言い争うような姉は、あたかも芸を失敗したピエロのように滑稽だった。


 その時、海崎照美は、鋳崎はるかと自室で会話していた。
「あまり、気持のいいものではないな」
「・・・・・・・」
 親友がこのような言い方をするとき、その裏に深い理由があることをはるかは知り抜いていた。だから、軽々にその質問に答えることを避けた。
「私は言っているのよ!!」
照美は、たまたま弄んでいたヴァイオリンを投げつけようとした。
「・・・!?」
「そうしようと言いだしたのは、お前だろ?どうして、私に当たるんだ?」
 そう言い方が自分を受け入れていることを照美は知っている。知っていて、なお、反発を強めるのだ。自分の内心をすべて知っている。知っていて、なお、それを説明しようとしないはるかに怒りを覚えているのだ。
「郁子ちゃんを利用としたことは、確かに気持ちよくないが、こうすることで明日、西宮に登校させるきっかけにはなるかもしれない」
「そんなことをいて欲しいわけじゃないわよ!」
「なら、予め模範解答とやらを先に示してほしいな」
「あんたは、アスリートでしょ、先を読めなくてよくもテニスなんかできるわね」
「こんな回りくどいやり方をして関係ない人を傷付けるなら、いっそのこと、あいつをこの手で殺せばいいのよ」
「・・・・・」
 さすがにこの言葉には切り返す具体的な言い回しを、はるかは見つけられない。だが、あえて言うべきことを吐いた。
「なら、これから殺しに行こうか、強盗殺人に見せかけてやろう」
「・・・・・」
  何か言おうと脳内検索しようとしたところで、照美の携帯が鳴った。
「あ、冴子さんだ」
「何?西宮の姉・・か?」
「はい、照美ですが?今夜のライブですか?大丈夫ですよ・・ハイ、ちゃんと用意しておきますから・・ハイ」
 照美に、ここまで平身低頭させる相手とはどんな人物かと、はるかは興味を抱いた。確かに教師など、あくまでも外見にそのようなお面を被ることは上手いが、本当に、相手にアタマを下げることなど、このプライドの高い友人に限ってほとんどありえない。
 彼女はあきらかに、冴子なる照美の姉に対してそうした感情を抱いている。
 携帯を切った美少女にはるかは思い切って訊いてみた。
「なあ、照美、冴子さんを目の前にして、何も感じないのか?苛立ちとか?」
由加里以上に、百合恵ママに酷似しているという、冴子に照美が反感を感じないことが不思議だった。
 照美は、冴子に対する素直な気持を隠そうとしない。
「とても素敵な人よ」
「そう、なら、私も一度会っておきたいな」
 それは、照美の予期していない展開だった。

テーマ:官能小説 - ジャンル:アダルト

『由加里 102』
 藤崎さわと真野京子は、涙ぐみながらもにこやかに笑う由加里に違和感を覚えていた。罪悪感を引き起こすスパイスが、しこたまにかけられているためだ。自分たちが言っていることがすべて嘘だという事実、それが内心の葛藤を産み、自分たちを苛んでいる。彼女は、あきらかに自分たちを信用しはじめている。それが話し方からわかるのだ。
 しかし、病室で久しぶりに出会った時から、こんなに心を許していたわけではない。高い壁と警戒心がベッドの前に立ちはだかっていた。少しずつ話し込むことでここまでもってきたのだ。
二人は、泣きながら笑うという、実に不思議な感情表現をする同級生と相対しながら、複雑な心理状況に陥っていた。
 そこで二人は彼女について思い出せることをピックアップしようと思い立った。
 西宮由加里とは、どのような少女だったであろうか。
 中一の時から二人は同じクラスだったが、それほど親しかったという記憶はない。まず印象に残るのは、なんと言ってもその頭の良さだった。成績はクラスでも群を抜いていた。
 しかし、容姿は優れているが、照美ほどの際立った美人というわけでもないので、それほど印象に残っていなかった。彼女のように、一度であったら二度と忘れさせないような、鮮烈な記憶を相手の脳裏に焼き付かせる、といった属性はなかったように思われる。あるいは、努力して自らそのような性質を押し隠していたのかも知れない。

 今、彼女から感じるオーラーからは、ただ人からは発せられない何かを感じる。

 由加里との深い接点は、夏休みの林間学校にはじまる。同じ、バンガローに泊まることになったのである。夜通し話していたが、バツグンの成績を誇っている一方で気取らない性格が以外に思えたことを覚えている。大人しそうな外見からは、取っつきにくい印象を受けるものの、いちど話してしまえば親しく交わってもらえる。
 だが、ふとした拍子に、藤崎はある違和感を覚えた。
 確かに、誰からも好かれるし、ものごしが柔らかかに見える反面。誰が相手でもあるていどのところまでは侵入を許すが、最後の一線まではそうはさせない、そんなものがたさを見て取ったのである。
 当時、それは錯覚だと思っていた。いつも、由加里の周囲には友人がいっぱいいたし、本人も常に幸福そうに笑っていたからだ。
 しかし、それから進級して、別人のように豹変してしまった。恐らく外部の影響が大であろう。それとも内部的な些細な変化がいじめを呼び寄せたのだろうか。藤崎にはその判断を容易に下すことはできない。
 今、目の前で次から次へと言葉を繰り出してくる由加里と、教室でいじめられていた由加里は、本当に同一人物なのだろうか。あるいは、そうなる前にカラカラと笑っていた彼女は、本当に同じ人間であると強弁できるのだろうか。

 彼女の笑顔から本当の心情を読み取ることは、二人にできそうにない。いや、そうできない方がいいのかもしれない。もしも、ガラス戸を見通すように彼女の心が見えたら、このような計画に荷担することはできないだろう。 それは同時に身の危険を呼び寄せることになる。あのクラスで彼女に荷担することは、クラス中の敵意を自分の中に集中させることを意味する。それは避けたい。だからこそ、罪悪感が疼くにもかかわらず、頭を縦に振ったのだ。
 この饒舌さはかつての彼女とやはり違う。相当に無理をしている。自分に寄ってきた二人を逃すまいと必死に演技をしているのだ。
 そんな由加里を見ていると、自分たちがとんでもない犯罪に手を貸していることを思い知る。なんとなれば、二人は高田と金江からの依頼、というよりは命令によってここ来ているからだ。二人から渡された台本通りに事を進めるためにここに来ているのだ。
 しかし、この少女がここまで饒舌だとは、予想外だった。あきらかに台本を逸脱している。あきらかに作者の想定を超えてしまっている。生の人間が相手なのだから当たり前だが、どうしたものか・・・、加えて、おかしなことがある。台本の見事さである。とてもあの二人の知性から産み出されたものとは思えない。
 二人はプロの台本などは見たことがないが、それに匹敵する内容と重さを有しているのではないかと思わせるほどだ。
 だが、今はそんなことを考えている場合ではない。台本に沿わせるように話しをもっていくだけである。
 当然のことだが、これを書いたのは鋳崎はるかである。彼女は、自分と照美が表立って由加里いじめに参加していることを隠匿しようとしているのだ。
 彼女の努力もあって、一般のクラスメートは、似鳥ぴあのや原崎有紀という例外を除いて、いじめの首謀者は高田と金江である、ということで意見が一致している。いざとなったときに自分と親友に火の粉がかからないようにしている。そのことは、彼女の抜け目の無さを証明しているといえるだろう。

 さて、藤崎は由加里にある提案をしようとしていた。
「ねえ、西宮さん、明日、学校に行こうよ」
何故か、意外そうな顔をしなかった。
「それは、ゆららちゃんにも言われてるの・・・」
 視線を反らす知的な美少女は、突然に本題を出されて戸惑ったのか、饒舌さを何処かに忘れてきてしまったようだ。黙りこくってしまった由加里に、藤崎はさらに畳み掛ける。
「他の子たちも面会にきてたんでしょう?味方になってくれるよ」
「そうだよ、教室の空気もそんな感じだよ。みんな、西宮さんにすまないって思ってるんだよ」
 付かさず、真野が言葉を差しいれる。
「それは、私たちも同じなんだ・・・」
 その台詞は、台本の中でかなり重要な部類にカテゴライズされると思われた。じっさいに、由加里は涙目になっていまにも長い睫を濡らしそうだ。
「本当にごめんね、西宮さん・・」
 二人同時に、由加里に触れるように書いてあった。わざとらしくではなく、ごく自然にそうなったようにと但し書きがあったと思う。

 はたして、藤崎は彼女の背中に、そして、真野は、たまたま正面を向いていたので、両手に触れていた。身体に寄り添うには、彼女の視線が痛すぎる。だから、そういう方向性に流された。しかし、手も身体の一部ということなら、台本に反しているわけではなかろう。
「だって・・・」
 由加里は、視線を落として泣き声を上げ始めた。
「だって、あんなヒドイ目にあってるのに、誰も助けてくれなかった・・・・いや、みんなで私を責めて・・・うう」
「クラスのほとんどは、高田さんや金江さんが怖かったと思うな。私もそうだよ」
「あの人たち、何するかわからないから・・・・私も怖かった。従わないと殺されるような気がして・・・だからって、許されると思ってないよ、西宮さん」
 完全に力を落として項垂れた、由加里の肩に触れると振動が伝わってくる。人間とは、泣くとこんなに激しく揺れて熱を帯びるものだろうか?きっと、教室で行われたひどい体験が彼女の中で再生されているにちがいない。
 しかし、知的な美少女の脳裏に鮮やかに蘇っていたのは、照美たちによって行われた性的ないじめだった。辱められ、おもちゃにされた。
 何よりも辛かったのは、自分の意思とは正反対に、身体が勝手に反応し、自分が淫乱な女の子であることを強制的に自覚させられたことである。
 しかし、同時に輪沸き起こってきた感情は、金江や高田たちに感じた憎悪ではなくて、ただ、ただ、身体が震える恐怖であったのだ。

 少女は、小さい声だがきっぱりと言った。
「わ、私、やっぱり、もう二度とあの教室には行きたくない・・・」
 項垂れた、形の良い、卵形の顔から水晶の涙が零れた。
「でもさ・・・・・」
 異種のエネルギーを感じた由加里はそちらを見つめた。真野が確信に満ちた顔で口を開いていた。
「ここで逃げたらだめだよ。もしかして、高校に行ったらいじめられないという保証でもあるの?」
 自分で言っていて、なんというはずかしい台詞だと思った。まるで中学生日記ではないか。それともこれが演劇にすぎないことを知っているからこそ、そう思うのだろうか。思えば、プロの俳優とは何と難しい職業だろうか。 このばかばかしいという感情を乗り越えることが芝居の出発点なのだ。

 何としても、芝居の主人公を舞台の上まで押し上げなければならない。そのためにはなんでもするつもりだった。なんと言っても、これから、彼女たちがどのような中学校生活を送るのか、それは事の正否にかかっているのだ。
 煮え切らない由加里に痺れを切らしたのか、声を荒げたのは藤崎だった。
「西宮さん!何が不満なの?みんながこれほどまでにあなたのことを思っているのに!」
「さわ!」
 真野は居丈高になった友人を諫めると、腫れ物を扱うような顔で由加里に対した。涙ぐむ彼女の肩をその身体で包みながら偽りの優しさをふりかける。知的な美少女は、この時、それを見抜くことができなかった。いや、もしかしたら、洞察していたのかもしれないが、本人の希望がそれを曇らせた、ということも考えられる。人間は現実をそのまま受け入れるよりも、見たいものを見るのが常だから、である。

「わ、私ね・・・」
「うん、うん、どうしたの?聴かせて、西宮さん?」
 いかにも聴いてあげたいという表情を全面に出して真野は、由加里を籠絡しようとする。
「・・・どうして、私なんだろう?って思うの?」
「いじめられたのが?」
 真野の言葉に化学反応を起こしたかのように、激しく泣き伏せる由加里。それをイエスの意味に受け取った真野は、語りかけるように優しく諭す。
「言い方が悪いと思うけど、貧乏くじを引いたんじゃないの?西宮さんが特別にヘンなわけでも、人から嫌われるわけでもないと思うよ」
「うう・ウ・・・ウ、ホントに?」
どうやら、同級生の言葉は由加里の琴線に触れたようで、泣きやむと真野を見上げた。
「私もそう思うよ、言い方が悪かった」
 藤崎が添えるように言葉をかける。
 この二人、別に意図してこうなったわけではなかろうが、刑事が被疑者を取り調べる方法と寸分変わらぬ様式をなぞっていた。居丈高に責める刑事と、宥め役、この二人の役割を期せずして果たしていたのである。
 由加里は、時の河に小石を投げ入れるように言った。
「私、明日、行く」
 知的な美少女の視界の外で、二人はにやりとしたが、その反面、いやな罪悪感から逃れられない、自分たちの運命を知った。

テーマ:官能小説 - ジャンル:アダルト

『由加里 101』
 
 まるで何年も入院していたような気がする。思えば、あの事故から1ヶ月あまりしか経っていない。洗濯物とエトセトラが入ったバッグは、旅行鞄のようにも思える。
 刑務所か、少年院と考えれば、今日の今日まで経験した地獄を表現するのに適当な言葉かもしれない。
 自分は本当にここから解放されるのだろうか?母親の顔を見るまで、由加里は素直にそれを信じる気になれなかった。本当に心細かった。入院しているときに、いくら面会に来られても、家族と出会ったような気がしなかった。そのまま彼女は帰宅してしまい。自分を置いて帰ってしまうからだ。

 可南子と母が和やかに語り合っている。

 彼女が一体、どんな人間なのか、あの厚化粧の下に、どれほど獰猛で残酷な肉食獣の素顔が隠されているのか、彼女は、想像だにできないだろう。
 考えてみれば、自分はまだ保護観察の身分にすぎないのだ。自由の身はあくまで一時的なものにすぎず、一週間に一度は、あの看護婦に身体を委ねなくてはならない。
 入退院の如何はすべてあの看護婦の手に握られている。下手すると精神病棟に放り込まれかねないのだ。

 この悪魔のような病院に入院させられていらい、なんど、可南子に身体を所有されたことか。

 もう自分は変わってしまったのだ。彼女に完全に替えられてしまった。もう、人間じゃないんだ。そう思うと思わず涙ぐんでしまう。
 可南子は、そんな悪魔の素顔に分厚い天使の仮面を被って、周囲を騙している。母親はそれを見抜けないのか、あるいは、見抜いても知らないふりをしているのか、由加里の世話に対する感謝の後は、いわゆる、世間話に花を咲かせ始めた、
 しばらく、それが続いた後に、知的な美少女がやけに暗い顔をしていることに気づいたのか、獲物だけにそれとわかるように、哀れな蛙に二股に分かれた舌を見せた。
「どうしたの?由加里ちゃん、そんな顔して、折角、退院できるのに」
「・・・・」
 しかし、母親には、きっとそのように見えていないと、由加里は思う。肌に透けて見える爬虫類特有の鱗も、瞼のない、開きっぱなしの瞳も、きっと彼女には見えていないのだ。

 まるで幼稚園児でも言い聞かせるように、可南子は語りかけてくる。しかし、その言葉の裏には、悪魔の声で自分を脅迫してくるのだ、お前がどんなにインランでいやらしい子供が母親の前に提示してやろうか?と。
 おまけに、厚化粧の看護婦は、奇麗な包装紙で包まれたプレゼントを手渡してきたのだが、少しばかり空いた隙間から覗いた題名を発見して、腎臓が背中から這い出てくるような衝撃を受けた。
 それは、はるかによって渡されたSMのビニ本だったのだ。可南子に脅迫の材料として奪われたが、もはや、必要なくなった、ということだろう。
「またね、由加里ちゃん、そうだ、ここは病院だったね、忘れていたわ。もう二度と会わない方がいいかもね」
「・・・ハイ」
 こっくりと頭を下げた従順な美少女に、ご満悦の表情を見せると、可南子はナース室へと消えた。
「本当に、優しいいい看護婦さんだったわね」
「うん・・・」
 母親を並んで歩く由加里はさすような視線を感じた。看護婦や患者たちの悪意の隠った、鋭い針だ。奥さん、娘さんがどんな子が知っていらっしゃるんですか?私たち、大変に迷惑していたんですよ、よろしければ、隣の精神病棟にでも放り込んだらどうでしょうと、二人を見る視線たちは母親に訴えているように、由加里は思えた。

 恐怖を憶えたのは、それだけでなく、窓から見える精神病棟の窓にがっちりとした鉄格子がはまっていたことだ。それ以上に彼女を怯えさせたのは、目つきがロンパリの、涎を垂らした老人が見えたことだ。
それが、未来の自分に見えたのだ。由加里は思わずボツリと口にした。
「ママ、もうこんな処に来たくない!」
「当たり前でしょ?由加里?どうしちゃったの?」
 この大人しい子がどうしたのだろう?誰に感想を言わせても、人よりも大人びていると言わせる、娘が、大袈裟にいうと、まるで赤ちゃん返りしてしまったかのようだ。
 母ザルにしがみつく小ザルのように自分に身体を密着させてくる娘に、春子は今までにない違和感を憶えた。わずか1ヶ月余りの入院が、彼女に何らかの恐怖を味合わせたとでもいうのだろうか?

 確か、明日から中間テストのはずだが、友だちが持ってきてくれたノートで勉強していたはず、もっとも、この娘なら勉強に関してこちらが心配する必要はない・・・はず・・・だが・・。
「明日からテストよね」
「うん、ゆららちゃんとかが、ノートを写してくれたから、大丈夫よ」
「ゆららちゃん、新しいお友達よね」
 由加里の友人といえば、工藤香奈見という少女がまっさきに思いつく。昔から人間関係という点において、娘が器用であったことなどまったくないが、特に孤立するということはなく、香奈見のような存在が側にいなければ、他者に語りかけるのに難儀する、という点が目に付いただけだ。
 それが中2になっていじめられるようになったという。それがどの程度のものなのか、本人に聞いてもなかなか具体的な内容を話そうとしない。
 由加里は、不安でしょうがなかった、退院前にクラスメートたちが言っていたことは、はたして、本当に真実なのか。自分を騙しているのではないか、と気が気でない。
春子の運転する車から自分の通う中学の制服が見えると、クラスメートでなかったとしても、おもわず身を隠してしまう。

 彼女たちは、泣きながら、由加里の手を握って謝罪したのだ。そして、せめてもの罪滅ぼしに団結して金江や高田たちから護ると、誓ってくれた。いじめられる前からそれほど親しくなかった子たちだが、もしも、それが真実ならばどれほど嬉しいことか。
 似鳥可南子に首輪から繋がった鎖を握られているとはいえ、薄明かりの漏れる未来を計算することができるのも、彼女たちの誓いがあったからこそ、なのである。
 鈴木ゆららだけでなく、突如として現れたこの二人は、香奈見の再来と同じくらいに由加里の心を揺さぶった。もしかしたら、彼女たちの言っていることは真実ではないか。少女は期待してもいいのだと、いや、信じたかった。
 二人の言葉から、クラスメートのほとんどの協力を約していると、受け止められた。だが、金江や高田はともかく、照美やはるかはどうだろう?あの二人をどうにかできるとは思えない。
 
 海崎照美・・・鋳崎はるか、二人の名前は、由加里の心胆を寒からしめる。少女にとってこの世でもっとも怖ろしい存在だ。全身の筋肉と骨がセパレイトしてしまうほどの恐怖が全身に広がっていく。
 あの二人の行為を知る者は、だれもいない。ふと、知的な美少女はいいアイデアを思いついた、それは。二人に その事実を告げて、どう反応するのか、それを観測することで真実を知ることができるのではないか、ということだ。しかし、照美たちから受けた辱めを他人に知られることは、少女にとって耐え難い苦痛なのも確かなことだ。
 それに、自分を脅迫するに充分な材料を二人は握っているのだ。恥ずかしい画像、その中には暴力によって無理矢理に笑顔を造らされて、その結果、辱められている様子を喜んでいるように見えるものもある、事実、彼女たちはそうやって由加里を脅してきた。
 そのうえ、はるかの命令によって無理矢理書かされた、性的な内容を含んだ小説や、トレースを強制された18禁漫画の類、それらが由加里の自室たけでなく、双肩にのし掛かっているのだ。そして、常に彼女を声なき声で脅迫してくる。
 すべて明かしたら、二人は自分の言い分を信用してくれるのだろうか。
 しかしながら、彼女たちの出方を見ることで信用できるか否か、それを判定することができるのだ。由加里が、中2になって数ヶ月で結論づけた、自分に友だちがいることじたいが不自然であり、もうこれからの人生で、死ぬまでそんなものができるはずがない。
 このテーゼが崩れることはよもやあるまい。だめで元々なのだ。そもそも、信用なんかしていない。
 
 由加里は、スカートが破れんばかりに生地を握りしめた。
 そのとき、少女の聴覚神経は人の声に反応していたはずだが、完全に自分の世界に入り込んでいたために、それを人間の声として受け止めていなかった。
「由加里、どうしたの?由加里?」
 突然、現実が少女を貫いた。
 そうだ、自分は退院して帰宅の途中なのだ。
「どうしたの?ママ?」
「たった1ヶ月ほど入院しただけで、まるで、浦島太郎ね?」
 苦笑する母親を、由加里は自分の意識に留まらせておかなかった。今、頭にはあるのは二人のことである。明日のことを打ち合わせるために、さきほどのメール交換で出会うことになっているのだ。

 藤崎さわと真野京子。

 二人とは、中2になってはじめて知り合った。しょうじき、由加里の眼中から完全に周辺に追いやられていた存在だった。事実、いじめられっ子になる以前にも、ほとんど言葉を交わした記憶がない。
そんな、二人がどうして突如として、自分に接近してきたのだろう。気が付くと視界に自宅が収まっていた。
春子がすっとんきょうな声を上げた。
「あれ、あの子たち、このまえ、病院に来てくれた子たちよね」
 車窓から見える自宅を背景にして、自転車に乗った二人を仰ぎみることができた。元気そうな笑顔を振りまく、あたかも双子のように似通った二人は、春子の眼鏡に適ったようだ。
 由加里も、もしも、100%信じられるならば、母の感想に乗りたい気分だ。だが、いまいち、結論づけられない。二人を玄関に上げながら、知的な美少女は、外国人と交わっているような感覚を拭いきれないでいた。
「シュークリームがあるから、お茶を入れて持っていくから、先に行っていなさい」
 心なしか、母の声にも安心感というスパイスが混じってきたようだ。娘として、親を安心させられるのは、いいことだ。いじめられていることが、もっとも、具体的にどんな目にあっているのか知るわけではないが、春子に知られてしまったときには、手足を失ったような喪失感を味わったものだ。

 二人を自室に請じ入れる。その時に、たまたま、ふたりの背中に手が触れた。温かい、なんて、温かいのだろう。由加里は思わず嗚咽を上げて泣き始めてしまった。上品なかたちの頬を涙が伝う。
「どうしたの?西宮さん?」
 二人は、あたかも、三人が幼馴染みの関係であるかのように、よりそって心配の表情を見せてくる。
 友だちの背中に触れる。こんなことは友人同士ならば普通に行われることだろう。そんなあたり前の事が特別に思われる。
「うう・・・・・!?」
 知的な美少女は思わず、廊下の床に蹲ってしまった。涙が幾粒も、大きな黒い染みができていくのが、少女にも視認できた。

テーマ:官能小説 - ジャンル:アダルト

『由加里 100』

「ウグ・・うぐぐぐ・・・!?」
 突如として、可南子に侵入された由加里は、追憶を中止せざるを得なくなった。双頭のペニスの張り型を装着した看護婦は、男がそうするような腰つきで少女を貫いた。この悪徳看護婦は、既に知的な美少女の処女を奪っていた。
 可南子の激しい動きにも、次第に苦痛を感じない身体になっていく、あるいは、強制的に替えられていく、どんどん自分が自分でなくなっていくような気がする。
 それは、女性が生まれて始めて知る性との邂逅、すなわち、生理に似ているかもしれない、と思った。
 だが、それには、恐怖がストーカーよろしく忍び歩きをしていながら、性という未知なるものへのワクワク感がなかったとはいえないこともない。
 あの時、可南子によってはじめて全身を貫かれた。
 処女という言葉は、当然のことながら知っていた。だが、それが失われることの、具体的なイメージを体験前は描くことができなった。はるかから強制的に見せられた、いかがわしい雑誌や漫画は、いかにリアルに描かれていようとも未体験の由加里には単なる絵空事にしか思えなかったのである。
 ところが、具体的に経験してみて、二次元の少女たちの嘆きが三次元になって迫ってきた。
 たしかに、その最中においては強烈な苦痛以外に感じることはなかった。しかしながら、時を経るに従って、処女膜が破れた疵が治っていくと、意外なことだが、とんでもないことをしてしまったという罪悪感を憶えるようになった。

 しかし、強制的に犯されたのであって、自分は何も悪いことをしていないという意識は、当然のことながら、少女の内部に根強く生き残っていた。
 両者の争いは少女の意識を分裂させ、その結果、彼女を強烈な精神的混乱に導く結果となってしまった。
 その時、由加里が感じた恐怖には離別という感覚がついてまわる。
 自分が自分でなくなるばかりか、人間ではない、別の生き物に変化していくような気がした。いじめによって、友人たちから引き離されたように、大袈裟な言い方になるが可南子に犯されることによって、人類というカテゴリーから引き離されるような気さえしたのだ。
 改めて、自分の身体にとんでもないことが起こったと自覚せざるを得なかった。

 処女喪失。

 その価値を具体的に理解していなかったものの、大切なものを、同性の、しかも、同級生の母親によって喪失してしまったのだ。
 彼女に犯される度に感じることだが、漂ってくる厚化粧の臭いと、やけにこってりとした脂ぎった皮膚、それは女性本来のすべすべした肌のきめの細かさとは全く正反対の、あえて、あえて例えるならば、ニシキヘビのじっとりとした肌を思い浮かべてもらえば近いかもしれない。
 知的な美少女は、強大な蛇に、舌が二股に分かれる冷血動物によって呑みこまれたようとしているのだ。
 自分が爬虫類の化け物にでも陵辱されているような、ファンタジックな妄想に襲われる。それは、はるかから借りた、18禁同人誌による影響だろうか。
「由加里ちゃんは、少女から女になったのよ、この私の手によって寝、それは一生、忘れて貰っては困るわ・・・愛しているわ、赤ちゃん!」
 日本語本来の意味をねじまげて、可南子はさらに由加里のプライベートな空間を侵食し自分の色に染めていく。 そこは彼女の汚い脂肪と皮、それにコレステロールでいっぱいになった血管で埋めつくされるだろう。
「うぐぐぐ・・・・いやぁあっぁ・・・・はぁ」
 そんな記憶は一瞬で忘れたいものだが、人間の記憶は、何処ぞの催眠術者が言うように、勝手気ままに消したり植え付けたりできるものではない。安物のコラージュではないのだ。

 由加里は、華奢な身体を振るわせて、恐怖と自己嫌悪に苛まれながらも性の愉悦を感じていた。思わず、漏れ出る喘ぎ声。思わず、乱暴で下品な、とても看護婦のそれとは思えぬ手によって口が塞がれる。ここはトイレの個室なのだ。いつ、何時、人に聞かれるかわからない。用心に越したことはない。
 激しく陵辱されながら掴んだものは、溺れながら少女は藁に手を伸ばそうとしていたが、その行為が追走を復活させのかもしれない。

 オルガルムスの手前で、親友を生まれて始めて殴ったことを思いだした。平手打ちにするつもりが、怒りとも悲しみともつかない過剰な感情のせいか、気がついたら、拳骨で彼女の頬を撲っていた。
「か、香奈見ちゃ・・・・・・・」
 よろめく親友の胸に由加里は飛びこんでいた。
「し、信じていいんだよね、香奈見ちゃん・・・・」
 身体を自分に投げ出す由加里に、それなりの重量と迫力を感じながら、そんなことができるならば完全に怪我は完治したんだな、退院できるのだと、頬に激痛を感じながらも香奈見は何処かで冷静に観ていた。
「今まで、悪かったね、由加里ちゃん」
「香奈見ちゃ・・・・うう・・・・」
 もしかしたら、クラスメートたちを信じていいのかと、本気で思い始めていた。ゆららによると、高田や金江たち、それに照美やはるかたちに反旗を翻る動きがあるとのことだ。  

 これまで、自分に掌を返したようにひどいことをしてきた人たちが、また、言葉だけの、表面を取り繕っただけの謝罪でまた同じことをするのかと、由加里は高をくくっていたのだ。騙されるものかと、ほんとうは、人の心が欲しくてたまらずに疼きっぱなしだったのだが、ようやく、果実が実ったのは真実だと思い定めた。
 甘い汁にありつこうと、ようやく手を伸ばす決心ができた。
 そう思い定めると、お馴染みの胸で幼児のようにいつまでも泣き続けるのだった。涙を止めようにも、後から後からでてくるしゃっくりや嗚咽を止めることは叶わず、涙はもとより垂れ流し状態だ。

「ううう・う・う・う!?」
 ようやく、オルガルムスで頭の中が真っ白になった由加里は、自分がトイレで似鳥可南子に犯されていたことを思いだした。いま、自分がどんな惨めな姿かと、想像してみるとさらに惨めな海に溺れていくしかなかった。
 犬のように両手をトイレのタイルについて、少女は泣いていた。しかし、酷薄な看護婦は、少女に嘆く時間と余裕すら与えない。
 可南子は、華奢な少女の肩を乱暴に摑むと、無理矢理に自分の方向に向かわせる。冷たいタイルが激しく身体と 摩擦を起こす。その感触がやけにおぞましい。
 そして、いつものように無慈悲な命令を突きつける。
「ほら、始末はちゃんとしなさいって、ママに躾られたでしょ?」
「うう・・!?」

 中学生特有の、幼い小学生に少しばかり大人のスパイスを噴霧した、あどけない顔が自分の股間を睨みつけている。それだけで、股間のぬめりが復活しそうだ。
長い睫が濡れている。それを振るわせながら、知的な美少女は鼻にかかった声を出した。
「わ、わかりました・・・・」
 死刑執行を数分前に宣告された囚人のように、由加里は肯いた。そして、チューリップのように可愛らしい唇から突き出た舌を、おぞましいペニスの張り型に這わせる。ラバー製の特殊加工された漆黒の亀頭部は、舐めた人間の話によると、ペニスと感触がそっくりらしい。
「どう?どんな味かしら?半分は、あなたのいやらしい液よ、すごい臭いがするでしょ、ま、私のも混ざっているから、すこしは緩和されているとおもうけど・・・・ふふ」
 自分の命じるままに、恥ずかしい行為を行う由加里を満足げに見下ろしながら、可南子はさらに屈辱的なことをさせようと思い立った。
「何をしているの?ほら、口に含んだままで、手を使わずに私から抜くのよ、早く」
「うぐ・・・・」

 もはや、単なる人形と化した由加里は命令を実行に移した。そして、予め躾られている行為を行う。すなわち、口でくわえたまま床に置くと、しかるのちに、今度は逆の、そう、可南子の膣を埋めていた張り型に舌をのばした。
「そう、わかってるじゃない、可愛い子・・ふふ」
 知的な美少女の髪を撫でながら、可南子はまるで孫を観るような目をした。
「たっぷり、舐めるのよ、あなたの汚い口を私の愛液で洗浄してあげるんだから、感謝しなさいよ」
「うぐぐぐ」
「何よ!?その気持ち悪そうな顔は!?とても嬉しいでしょ?美味しいでしょ?気持ちいいでしょ!?楽しそうに笑いなさいよ!!」
「い、痛い!!」
 腰を蹴られた由加里は、思わず、張り型を落としてしまった。
「落としたわね!?」
「ひ・・・・・・!?」
 自分が犯した罪の重さに、少女はおもわず眼球を落とした。そして、これから蒙るであろう罰の恐ろしさに失禁した。
ビチビチと、湿気った煎餅を立て続けに割るような音が、辺りに響き渡ると同時に、尿の臭いが立ちこめる。
「あら、あら、汚いわね、なんて言う臭いかしら?由加里ちゃん」
「あ、あ、あ、あ、あ・・・」
 もはや、人語を解さないサルと化した知的な美少女は、下半身を、音を立てて濡らす黄色い液体が自分の身体から迸っていることを信じられないでいる。幼女のような丸い顔をして嘆くことしか、彼女にできることは残されていない。そして、死にも匹敵する怖ろしい罰を、想像もできない残酷な拷問を予想せずには、少女の知性はその能力の行き先を知らない。
 
 もしかしたら、退院を取り消されてしまうかもしれない。そう思うと、生きた心地がしない。やっと、明るい未来が見えかけてきたのに、それが帳消しになってしまうかもしれないのだ。もしかしたら、中間テストすら受けられない可能性があるのだ。
だから、可南子の、もはや、人間が人間に与えるとは思えない命令にも恭順の意を示した、ごく簡単に。
「あらら、後始末が増えちゃったわね、由加里ちゃん、早くしてよ、ママの仕事の時間が迫ってきてるから、由加里赤ちゃん、ふふふ・・・」
「うぐぐ・・・」
 食道を逆流して迫ってくるガス、嘔吐をひたすらに耐えながら、新生児の色のような可愛らしい舌をタイルにのばす、それも、自らの尿に黄ばんで汚れた。
舌に突きささる苦みと酸味は、あきらかに人間の口にするものではないことはあきらかだ。舌と口腔内の神経がすべて麻痺したところで、ようやく、この場の支配者たる可南子の許しを得ることができた。

テーマ:官能小説 - ジャンル:アダルト

『由加里 99』

「ふふ、今度は精神科に入院してみる?鉄格子の嵌った部屋で、毎夜、拘束服に全身をきつく縛られた上に、猿轡を嵌められるから涎が垂れっぱなしよ、あなたにはお似合いの姿かもね、それにしても、両腕は縛られているから、あなたが大好きで堪らないオナニーができないことが厳しいわ、そうなったら、とても辛いと想わない?想像してごらん、この優れたアタマでね!ありえる?オナニーしない夜なんて、耐えられないでしょう?インランで多陰症の由加里チャンは!」
「・・・うぐ・・うぅっぅ!?そ、そんな、だい、大好きじゃ・・・・じゃ、ありません・・ううう」
 由加里は、似鳥可南子によって女子トイレに連れ込まれて、陶器の肌を、それこそ、瞼から小指の先まで、身体のありとあらゆるところを所有され、まさぐられている。
午前2時になってやっと、仕事から解放された可南子は、可愛い由加里を我が身に抱く悦びにあずかることができた。
「明日、退院だけど、私の言うことを聞かなかったら、そういう目に合うのよ、おわかり?」
「ハ、はい・・・ウアウアぅあ・・・」
「じゃあ、どうすればいいのか、答えなさい」
 未発達の乳首を口に含まれて、その軟体動物にも似た舌に弄ばれると同時に、もっとおぞましい蛸のような指によって、性器を縦横無尽に蹂躙されている。タイルの壁に強かに押し付けられている。背中にその痕が残ってしまうのではないかと想うほどに、その力は強引で、華奢な少女はそれに抗する手段をまったく持ち合わせていない。
 とにかく、怪我が完治したとはいえ、もう逃げ場はないのだ。
 くぐもった声が狭い個室に木霊する。
 「ぅあ・・・・・」
 由加里は服を着たまま、可南子に陵辱されているわけだが、強引に胸元から首筋に入り込まれて、ネグリジェのボタンが外れた。
 可南子の体温が直に伝わってくる。それは、巨大なアイロンに押し付けられるような感覚だった。心も内臓も汚い熱によって腐っていく。

「さあ、答えなさい、さもないと、退院を取り消させるわよ。それとも、お父様に迷惑をかけたいの」
「ひ・・・、そ、ぁあ、それだけは・・・・」
 この大学病院が、西宮クリニックに影響力があることは、すでに報されている。
「だった、どうしたらいいのか、わかるでしょう?アタマいいんだから」
「ハイ・・・・い、一週間に、い、一回、か、可南子さまに、このいや、いや、いやらしい・・うあうあァァ・・・可愛がっていただ・・うあ、いただきます・・・・」
「お前の身分は?」
「可南子さまのはずかしいペット件おもちゃです・・ぅぅぅぅ!?」

 照美たちに強制されることで何度もやらされてきたことだが、自分の意図に反することを言わされるということは、演技であっても大変に辛く、とても馴れるものではない。
 可南子の、巨大なナメクジめいた舌が少女の臍にまで下がっていく。もしも、隠しカメラがここにあって背徳看護婦の悪事をすべからくディスクに収めていたとすれば、あくまでも角度によってだが、幼い妊婦のように見えたかも知れない。
 自分よりも巨大な寄生虫に身体を乗っ取られる。由加里が受けている感覚をあえて表現するとそうなるだろうか。汗と涎と、愛液、それらを頭から足の先まで可南子の残酷な手によって撫でつけられて、あたかも、軟体動物にでもなったかのような錯覚に陥った。
 ぬらぬらになった皮膚は、可南子の体液によって溶かされた結果である。
「ぁあああ・・・・」
 辱めを受けながら、少女は、昨日、思いもかけない人間の見舞いを受けたことを思いだしていた。
(香奈見ちゃん・・・・)
 
 つい、二日前のことになる。いつものよに朝食を終えた由加里は、ゆららが書き写してくれたノートに目を通していた。
「か、香奈見ちゃん!!」
 看護婦が側にいるにもかかわらず、彼女の顔を観た瞬間に由加里はすっとんきょうな声をあげた。予想もしなかった見舞客が訪れたのである。
 思わず、ノートを床に落としてしまった。
「・・・・・・」
 入り口にまるで人形にように立っていたのは、工藤香奈見だった。
 驚愕のあまり、自己を見失っていた由加里は、看護婦がノートを拾ってくれたことにも気づかなかった。
 
 彼女は、由加里の幼馴染みである。幼いころに、「ずっと、大人になっても友だちでいようね」とよくあることだが、誓約を交わした仲だった。しかしながら、中学に上がってから彼女が陸上部に打ち込み始めてから、彼女に対する態度がガラリと替わった。
 自分はあんなにひとつのことに打ち込んでいるのに、どうして由加里はいい加減なのだろう。
 香奈見は自分と由加里を比較して、今までに感じなかった物足りなさを憶えた。自分の才能に限界を感じて、一生懸命にがんばることを放棄して、ただ、楽しむだけに熱中する親友を許せなかったのだ。
 それでも、まだ一年のころは、互いに空々しさを感じながらも、親しい仲を続けることができた。しかし、二年生になり、由加里がいじめられるようになると、彼女から離れ始めた。由加里の方でも、一回もSOSを出した記憶がない。香奈見がいじめに巻き込まれることを心配した記憶もない。彼女が離れていくことは、あくまでも既定路線にように思えたのだ。
 どうせ、新しい友人ができて自分を護ってくれると高をくくっていた。だが、クラスメートの誰も、知的な美少女の味方をすることはなかった。圧倒的な孤独の中に放り込まれてしまったのである。
 
 香奈見とて、かつての親友がひどい目に合っているというのに、まったく胸が痛まなかったと言えば嘘になる。だが、今となってはどんなきっかけがあったのかよく思い出せないが、高田と金江から由加里裁判の裁判長をやらないかと誘われた時、一も二もなく引き受けてしまったのである。
「西宮さんの無実が明かになればいいじゃなに。きっと、工藤さんならその役割を果たせるわよ」
 そう言われると、断る必要を感じなかった。しかし、いざ、裁判が始まってみると、クラスの趨勢は反由加里の色に染まっていた。はじめて、集団というものの恐ろしさを知った。白も黒に塗り替えてしまう、多数決の暴力ということを、教科書からではなくて実地で学んだのであろう。別に、社会科の教師が褒めてくれることはないが、何処か醒めたきもちでそのようなことを考えていた。完全に孤立無援の中、冤罪を押しつけられてクラスメートたちにひどい折檻を受ける由加里、中には、彼女がいじめられていることに異議を、あくまでも密かにだが、香奈見に告げていた子までもが、口を尖らせてかつての親友を罵っていた。
 それから、彼女はクラス公認のいじめられっ子となって、心身共に虐げられる生活がはじまった。
 由加里にしても、唯一、自分を庇ってくれる可能性を託していたのは、香奈見につきる。
 ふと、教室で視線が合うと、目で合図を出したりもしてみたが、完全に無視をされた。何度もメールを書いたが、無下に拒否されることが怖くて、いちども出すことができなかった。最後までその可能性を信じていたかったのである。
 今、その香奈見が目の前にいる。

「・・か、香奈見ちゃ・・・・うう・・・」
 由加里は、看護婦がまだいるにもかかわらず、大声で泣き始めた。
「由加里ちゃん・・・・」
 一瞬、香奈見は絆された。あたかも郁子から頼まれてきたのではなくて、自発的にここまで来たような気がする。自分の胸の中で泣き続ける窮鳥から伝わってくる熱に、思わず、驚きながら、クラスの趨勢というものを改めて考えてみることにした。
 中間テストを前にして、クラスは由加里というおもちゃを失うことを怖れている。照美とはるか、そして、高田と金江、この二大派閥が共通の敵というか、玩具を失うということは、両者の徹底的なぶつかり合いの幕開けを意味するのかもしれない。
そのために、クラス全体という意思、もしも、そのようなものが本当に存在するとすれば、の話しだが、明かに由加里を必要しているのである、恒久的なものではなくて、あくまでも一時的な平和を希求するために・・・・・。
由加里は涙に濡れる目を、香奈見のTシャツで吹きながら言った。
「香奈見ちゃんは、私に学校に行って欲しいの?」
「当然だよ、一緒に行こう、前、みたいにさ」
しかし、照美からの要請をことわり続けたことに関しては、多勢はともかく、少なくとも自分を納得させられる理由を見つけることができるだろうか?

 きっと、この子と仲直りできる可能性を信じていたのだわ。しかし、それも今回のことで完璧に終わりね。私は由加里から完全に自由になるの。
テーブルの上に置かれている教科書やノートが、香奈見の視野に捉えられた。
「学校に行こう。中間テストの勉強、進んでいるみたいじゃない」
「うん・・・・香奈見ちゃんも手伝ってよ・・・」
「まさか、私が手伝う必要ないでしょう?」

「・・・・・・」

「どうしたの?由加里ちゃん・・」
 おもむろに押し黙ってしまった友人に、香奈見は反応を見るしかできることがない。
「このまま・・・・」
「え?」
 由加里は、香奈見を試す意味においても、思い切って言ってしまうことにした。
「このまま以前と同じように、元に戻れると思ったら、まちがいよ!うう・・うっぅ!」
 再び泣き出す、知的な美少女。
「そうだったわね・・・・」
「気安く触らないで!!」
 華奢な肩に香奈見の指がかかるか、かからないか、その瞬間に、由加里はぴくんと震えると全身を氷らせた。
「ひどい、私があれほどひどい目にあってたのに、何もしてくれなかった!うう・・・・本当に、友だちなの!?」
 まるで走馬燈のように、中2になって以来、学校で起こったすべてのことが、筆舌に尽くしがたい辛い思いでが、脳裏に映し出される。もう、香奈見のことは諦めていた。何も期待していなかった・・はずなのに、いざ、目の前に、こうして、昔のように遇されると思わず、期待してしまうことがある。
 それの正体について、今は、考えたくなかった。知りすぎるほど知っているのに、喉から手が出るほど欲しくて堪らなかったものなのに、それを口にすることは、自らのリーゾンデータルを否定することに等しかった。
「あれは、友だちとはいえないね・・・」
演技のはずなのにどうしてだろう、香奈見の目に点滅するものが発生した。
まるで心臓発作を起こしたときのように、しゃっくりと激しい震えを繰り返す。
「由加里ちゃん、怪我は大丈夫なの?」
 香奈見は、さすがに由加里の容態が心配になった。病気ではないかと思ったのだ。怪我をしたというが、それがこんな症状を起こすことがあろうか、医者でもない香奈見にその判断ができるはずがない。だから、看護婦を呼ぼうとしたところ、由加里に腕を取られた。
「香奈見ちゃん!」
「何?」
「今は、頭の中が混乱して何が何だかわからないの!だから、あることをさせてよ!させてくれなかったら、もう 二度と、香奈見ちゃんの顔なんて観たくない!簡単に許せないの!!」
「何をしてほしいの?」
「させてほしいの!」
「・・・・!?」
「ぶたせて!!」
 しまったと思った。これで、由加里は、香奈見を永遠に失うかもしれないと考えた。後悔先立たずとはまさにこのことであろう。

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